「他者⇒自分」ではなく、「他者⇔自分」

「年度締めカタカタ」開催!

 “カタ”オサコーヒーで“カタ”ろう、略して「カタカタ」は、社会課題について気軽に話せる・語れる場をつくりたいという思いから、2020年度3Q地域共創論の先輩が立ち上げた企画です。その後も、カタカタに参加した福女大有志の学生でKATAOSA COFFEE(福女大から徒歩10分程度)や学内にて映像を鑑賞し、感想を語り合う活動を行ってきました。私は第3回目の先輩主催のカタカタに初めて参加し、「気軽に語り合える場ってステキだな、自分もこういう場をつくりたい」と思い、運営に関わるようになりました。

 今回のカタカタは2部構成で、1部では「グリーンイメージ国際環境映像祭2019」の大賞作品であるドキュメンタリー映画『黄金の魚 アフリカの魚』(株式会社ティーアンドエス様から映画の使用権を寄付していただいた映画のうちの一つ)を鑑賞し、語り合いました。2部ではカタカタ運営メンバーが今年度のカタカタの活動について振り返りを行いました。
 

カタカタ第2部の写真です。アイスブレイクの意味も込めてzoomの背景を 今回のカタカタのイベントのテーマカラーである青、赤、緑、黄色 いずれかの食べ物の写真にそろえました。

成長のきっかけ

 私は今回のカタカタで1部・2部ともにファシリテーター(参加者の活発な意見交換を促したり、意見の対立を調整したりすることでグループの目指すゴールの達成を支援する役割)を務めました。どのような場にしたいのか、どうしたら参加者にとって学びのある場になるのか運営メンバーと企画を練って迎えた当日、私はファシリテーターを務めるにあたって緊張しすぎることなく、リラックスした状態で臨むことができました。

 それは私がこれまでにカタカタや「学びのポトラック」(毎月1回、オンラインで大学や学年関係なく、対等に学びについて学ぶ場・以下「ポトラック」といいます)の参加・運営を行ってきたことで「場をつくる」ことを意識し、自信がついてきたことが背景にあるのだと思います。しかし、私の大学入学当時を思い返すと、他人と自分の考えを語り合う場に参加することはおろか、自分が企画・運営をし、場をつくることは考えられませんでした。

 私が福女大に入学して様々な場に飛び込むようになったきっかけは2つあります。1つ目は、大学1年生時に履修した体験学習「スリランカ Exploring “development” プログラム」での報告会です。私は、報告会最後の質疑応答を担当していたのですが、参加者からの質問に対して頭が真っ白になり答えることができず、途中で役割を他の人に代わってもらいました。これは私にとってとても悔しい思い出として残っています。初めての経験だったとはいえ、私は人前で話すことができないのか、他の人はできたのに、と感情を揺さぶられたことを思い出します。しかし、このときに悔しい思いをしたことで、今の自分を変えたい、もっと成長したい自分に気づくことができました。

 2つ目は「自分を信じる」意識を持つようになったことです。「自分を信じる」とは、例えば、「こんなふうになりたい」と思える人を見て、「自分はこの人と違うから」と何もしないのではなく、「自分にもできるはず」と自分を信じて行動し続けることです。前述のスリランカプログラムを通して「私にもできるはず、自分を信じてやってみよう」と考えるようになり、挑戦することができるようになりました。「こんなふうになりたい」と思うだけでは成長することはできず、成長するには挑戦することが不可欠だと考えます。まずは「自分を信じ」て挑戦してきたことで成長できたのだと思います。

 動き、失敗や悔しい思いをしたことで成長したい自分に気づき、自分を信じることで成長のための次の一歩を踏み出すことができました。カタカタやポトラックなどの場に参加・運営に関わるうちに、自分のできていない部分を知るのと同時に少しずつ自分が成長していくのを感じました。動くことで失敗し、成長したい自分に気づけたこと、そこから自分を信じ、挑戦し続けたことが大学入学時から今までの大きな成長の要因だったのだと考えます。
 

「相互作用」を目指して

 現在、私は「場づくり」に興味を持ち、挑戦しています。「場づくり」とは、この場をどのような場にしたいのか・そのためにはどうしたらよいかなど考え、それを実現できるように動くことです。こう聞くと何か特別な「企画・イベント」のときだけにすることのように感じる方もいるかもしれませんが、実は日常のいたるところに「場づくり」は行われています。例えば、サークルの集まりをどこで、何をするのか考えることや遊ぶ際にどこで、誰と、何をどうやってするのか計画を立てることも一種の「場づくり」だと思います。

 私はこれまで「よい場」というと参加者みんなが楽しめる場のように考えていましたが、今では参加者がお互いに影響し合い、学びを得られる場を「よい場」と考えており、そんな場を作ることを目指しています。参加者同士が関わることで新しい価値観を知ったり、今まで気づかなかった自分の考えに気づいたりすることができ、学びが生まれます。そのため、どのようにすれば参加者が興味を持って前のめりに参加しやすいのか、新しい価値観に触れることができるのかなど、学びを生むために場づくりからアプローチできる部分はたくさんあるように思います。場づくりを工夫することでよりよい場を作っていきたいと考えています。

 今回のブログを執筆するにあたりこれまでの自分の成長について振り返っていると、動き、他者との関わりが増えることで、学びが増えていることに気づきました。他者と関わることで自分の価値観に疑問を抱いたり成長欲がわいたりしていたのです。それと同時に他者の成長と自分の成長を切り離して考えていた自分にも気づきました。他者と関わることで学びが増えていくと考えると、人と人の関わりの過程で相手も自分もお互いが学びを得たり成長したりすることができるのではないでしょうか。今まで、自分が他者から受けた刺激に着目することはあっても、自分が他者に与える刺激について考えることはありませんでした。しかし、自分と関わってくれている他者に対して自分がどのような影響を与えることができるのかを考えることで、今目指している「よりよい場づくり」につながるのだと考えます。自分も自分と関わっている他者もお互いが高め合って成長できるような場づくりを目指して挑戦し続けます。
 

国際教養学科 冨永楓

 最近、動き、人と関わり、つながりを続けていくこと・広めていくことは素敵だなと改めて感じています。私がカタカタの運営に関わるようになったのは、先に書いたように、先輩主催のカタカタに参加し、自分もこんな場をつくりたいと感じたことがきっかけですし、ポトラックもスリランカプログラム後、発表する機会を先生から提案いただいたことがきっかけでした。何か自分がアクションを起こそうとするとそれに参加してくださる方、協力してくださる方、一緒に作り上げてくれる仲間などたくさんの人が関わることになります。そこでできたつながりをその場限りで終わらせるのではなく、大事に長く続けていける人になりたいです。
(福岡県 筑紫丘高等学校出身)
(2021年度執筆)

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