今できる最高を届けたい

伝統が途切れる危機!?

 例年、新入生同士の交流を目的として5月に開催している体育祭を、今年は新型コロナウイルスの影響で11月に延期して実施することになりました。これまでの体育祭は、チーム対抗でドッジボールやダンスを披露して得点を競い合うといった形で、代々引き継がれてきました。私が1年生の頃はまだコロナの影響もなく通常通り実施され、事前のダンス練習などを通してたくさんの友だちができました。しかし、昨年度の体育祭はコロナ蔓延防止の観点からやむを得ず中止となりました。

 私はこの伝統のある行事が絶たれる危機を感じ、今年の1年生には体育祭の楽しさを味わってほしい、また、この伝統を今後も引き継いでほしいという強い思いから、なんとか開催に踏み切りました。しかし、開催に至るまでにはさまざまな工夫が必要でした。

伝統を引き継ぐためには変革が必要

1年生集合写真
 コロナ禍で体育祭を開催するに当たって考えるべきことは、主に企画内容と参加人数の2つです。先にも述べたように、例年体育祭での実施種目はドッジボールやダンスですが、息の上がる競技や事前練習が必要なものは実施不可でした。また、例年のチーム分けは学科ごとに1チーム30~50名程で構成され、それらが一斉に集まって総当たり戦をしていましたが、この形式についても見直す必要がありました。

 そもそも11月での開催というのは、1年生もある程度大学生活にも慣れ、アルバイトや遊びなどそれぞれの生活スタイルが定着し始めている時期なので、果たしてどれくらいの1年生が参加してくれるのだろう、どれくらいの1年生が開催を楽しみにしてくれているのだろうと不安に思う毎日でした。

 しかし、他の1年生と交流をして関係を築くというのが体育祭の醍醐味なので、安全に配慮しすぎてあまりにも接触のない内容になってしまっては開催する意味がありません。よって、今年は新たにみんなが安全かつ親交を深めることができる企画を考える必要がありました。

 そこで考えた企画が、レクリエーション要素の強い3つのゲーム①絵しりとり、②巨大カルタ、➂まるバツクイズを行い、それぞれの得点の合計を競い合うというものです。また、今年は1チーム4~5名程度で編成し、最大4チーム対抗とすることで、1度に集まる人数を減らしながらも、なるべく多くの1年生と顔を合わせることができるよう工夫しました。他にも、例年のようにダンス練習で事前に交流できない代わりに、巨大カルタで使用するカルタの札をチームごとに制作してもらったり、当日身に付けるおそろいのアイテムを用意してもらったりすることで、事前にチームメイトと親睦を深める機会を設けました。

 これらは見た目以上に思いきった決断で、前例のないことをしようとする不安や、新しいことを始めるにあたって考えねばならないことの多さに打ちのめされることも多々ありましたが、私たちが1年生の時にしてもらったように、私たちも1年生に今できる最高のものを届けたいという強い思いが、私の背中を押してくれました。

「置かれた場所で咲きなさい」

3年生実行委員
 これはシスターの故・渡辺和子さんの言葉です。どのような状況下に置かれても、そこでできる最大のパフォーマンスをすること、それがたとえそれが望まない環境だったとしても、誰かが楽しくしてくれるのを待つのではなくて、自分から「楽しい」をつくること、これが私の人生のモットーであり、今回実行委員長を務める上で大切にしたことです。周りの協力を受けながら、無事達成出来たのではないかと思います。

 当日の会場は1年生の笑顔と歓声で包まれ、参加した1年生からは「とても楽しかった」、「参加してよかった」、「楽しい体育祭をありがとうございました」といった嬉しい言葉をたくさんいただきました。例年とは違った形の体育祭にはなりましたが、1人でも多くの1年生が良い思い出として心に残してくれていたら嬉しいです。

 来年度以降も体育祭が続いていくこと、そして、私のこの熱い思いが受け継がれることを祈っています。

国際教養学科(欧米言語文化コース) 瀬戸陽子

(広島県立安古市高校出身)
 私はこれまでの学生生活でなにかと体育祭に関わる機会が多く、今回もひょんなことから体育祭実行委員長を務めることになったので、とても深いご縁を感じています。

 私はノリと勢いで生きているので、今回のようなカッチリとした運営をするのは初めてでした。中高で務めた応援団長では、大声と笑顔で全体をまとめあげることに成功していましたが、今回直接顔を合わせることもできない中、大勢の人間を動かすことはとても難しかったです。学生のうちにこのような貴重な経験をさせていただけたことに感謝しております。

 これからも持ち前の明るさと情熱、そして今回新たに得た「物事を論理的に考える力」を活かして、毎日を楽しく過ごしていきたいと思います。
(2021年度執筆)

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