「就活用」の○○はいらない 大切なことは日常の中に

序章

 私は、ご縁あってIT関連の企業から内定を頂き、システムエンジニアとして2023年の春から社会人の一歩をそこで踏み出すことになりました。まさか、自分がITに進むなんて、つい半年前まで想像もしていませんでした。高校時代の情報科目の試験は下から数えたほうが早いくらい苦手だったので・・・。

 今回このような形で執筆させていただいていますが、私は、全て上手くいったキラキラ就活生ではありませんでしたし、紆余曲折の中で今の進路を決定しました。こんな人もいたのだと、軽く話を聞くくらいの感覚で見てもらえると嬉しいです。

「何がしたいか」なんて聞かれても

 就職活動を始めたての頃は、絶対にこれがしたい!というよりは、憧れや幻想、知っている名前の企業というだけで「とりあえず」みたいな部分がありました。「3年生はいよいよ就活よね」。そんな空気感が漂う中、何をすればいいかもわからず、流れのままに登録した就活関係のアプリ。
 とりあえず調べないといけないものの、最初の入り口が「業種」や「職種」の選択。わからないの一言で片づけるのは簡単ですが、完璧に当てはまるものがあるわけでもなく、本当によくわからない状況でした。
 基本的に「興味があればいろんなことをしたいタイプ」なので大学時代は、海外研修でアメリカに行ったり、学外活動で子ども食堂のボランティアをしたり、学生団体に入ったり、リノベーションを手掛ける企業のインターンをしたりジャンル問わず挑戦してきました。なので、特にビジョンもなく、何かを極めたわけでもなく…。理由なんていつも後付けで、挑戦したい、ただそれだけで行動してきました。
 ですが、見ず知らずの学生を企業は受け入れるわけなので、「なぜ」の部分をはっきりとさせる必要はあるのです。だから、よくわからないまま、日々の中で自分が経験してきたことをもとに、自己分析を進めていきました。

話題はつくらない 大事なことはすべて日常の中

 内定者座談会等も通じて、「内定者」として就活の体験をお話する機会をいただきましたが、こんなことしてた方がいいよ!とか、これよかったよ!なんてことは言えませんし、私もよくわかりません。そんな魔法みたいな武器はないし、人による、と思うからです。基本的には、大事なことは、今までの日々の中で培われていき、自分の中の行動にも表れているのではないかと思います。

 例えば、海外に関係するような仕事がしたいとどこかで思うのなら、自然と留学生との活動に参加したり英語の勉強をしたりするというような感じです。それがないのに、急にそのような仕事がしたいから…といって「話題をつくる」ようなことをすると、自分が後から苦しむことになると思います。
 私は、特にこれといった強みもないまま、就活を迎えたのですが、振り返ってみると就活だけを特別視する必要はないし、就活のために何かする必要はなかったと感じています。話題はつくらない、と言っていますが、決して「何もしなくていい」ということではありません。自分の中の引き出しはあるに越したことはありません。興味の赴くままに手あたり次第手を出せばいいし、好きなことしながら「これいいかもな」って思えるものの延長線上でキャリアを考えてみれば、それが一つの「選択肢」になるのではないのかなと思います。

大学生活の4年間はあくまで「種まき」期間 自分の選択肢を広く持って

 福女大で過ごしていると、英語やほかの言語が話せる友人、学外活動で成果を収めている友人、積極的に自分の道を模索して選択できる友人・・・。「すごすぎ・・・」と思えるような人とたくさん出会いました。
 私も、コロナで制限がある中で、興味のあることにはチャレンジをしてきましたが、自分の強みはこれだ!と言えるほどの何かがあるわけではありません。だからこそ、せめて自分が学んできたことをベースにした職業に就こうというのが私の中の考えでした。しかし、学んだことがその世界の全てでもないのに、なんとなくで、固執した考え方になっていることに後々気づいたのです。

 大学では、専門科目を勉強することはできますが、その他にも浅くとも広く色々なことを勉強することができ、特に福女大はその環境にあります。冒頭で、ジャンルを問わず挑戦してきたからビジョンも特にないと書きましたが、ある意味それが自分の中では功を奏していたし、それがある意味「軸」となっていました。あなたの就活の軸は何ですか、なんて聞かれて言葉にするのは難しいと思っていましたが、日々紡いできたもの、行動からおそらく見つけることができます。色んな所に種を蒔いて、育てる最中の花もあれば、種のままだったものもありました。いくつも蒔いた種が、就職活動の時にすべて生かされるわけでもなく、育てていた花がいつまでも育つとも限りません。
 そういった意味では、「できる、できない」で進路を決定するのではなく、冒頭にも述べた「興味があればいろんなことをしたいタイプ」という自分の性格、いろんな分野に挑戦できる可能性があるIT業界を選択したことは自分の今までの行動と照らし合わせても合っているのではないかな…と今は思っています。だから、「私にはできない分野だ」という思い込み(逆もしかり)を捨てて、大学生活の間にたくさんの種を蒔いて選択肢を広げてほしいなと思ってます。そして、どんな花をあなたが咲かせているかに気づいているのは、あなた自身ではなく、周りの人です。
 なかなか、自分のことを素直に聞くことも難しいかもしれませんが、少し素直な気持ちを持つと気が楽になると思います。

先を見据えすぎない 今を一生懸命に

 春からの進路が無事に決まり、楽しみもありますが、私は自分のことが心配で仕方がありません。正直、仕事であるプログラミングが向いているのかなんて分からないし、同期に圧倒されそうな気がして・・・(笑)。ですが、絶対安心という環境も逆にないなとも思っています。それは、これから就活をする方も同じだと思います。就活がいくらご縁だとしても、やはりどこかで、このくらいの規模の企業に入りたい、○○に携わりたいということがあり、不安になるでしょう。私もそうでした。ですが、就活を通じて「ご縁」と「タイミング」って本当にあるのだろうと思います。私は3年生の1月から選考を受けたりしていましたが、入社予定の企業には5月にエントリーをしました。
 先を見据えすぎて、泣いて、辞めたすぎると何度も思いましたが、それまでに、その時その時で積み重ねたものが、最後に自分が納得する結果として返ってきました。だから、就活用に○○したほうがいいかな…私特に強みないな…なんて不安にならないでください。楽しいと思うこと、挑戦したいと思うこと、日々を大切にすることが、一番の近道であり、納得する道になると思います。

 内定がゴールではないので、私もこれから頑張らないといけないといけません。不安な中ですが、将来より今にこだわって頑張りたいかなと思っています。

環境科学科4年 丸橋 礼奈

「だったらこうしてみたら?」
 私の中で、思考を変えてみることは意識をしていたものの就職活動を通じて、更に大切だと痛感した考え方です。これは、下町ロケットのモデルでもある植松努さんの言葉でもあります。高校生の時に、高校の創立記念式典で講演を聞き、内定者研修で偶然にも同じお話を聞きました。そして、なんと、夏に広島駅でお会いをして名刺までいただきました。私の中ではすっかり魔法の言葉です。

 一筋縄ではいかないことがあることを、就職活動を通じて学びました。今までとは違う道を行く時は色々と考えてしまいます。これから先、違う手段、予期しない道も選べるなんてラッキーって思えるくらいのポジティブさを身につけたいですね。まだまだ目標レベルです(笑)
(福岡県立春日高等学校出身)
(2022年度執筆)

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