第7回 福岡女子大学 ろうそく能

ナデシコ・ナイトでの特別な公演

 なでしこ寮での生活の一環として、毎週月曜日に「ナデシコ・ナイト」と題して寮活動が行われています。寮活動の内容はルームメイトとの交流を深めたり、全体で特定の国のことを学んだり……毎回違っていて七夕やハロウィンの行事ごとの時は特別な内容になっています。今回は、2022年11月7日月曜日の「ナデシコ・ナイト」に演者様をお迎えして行われたろうそく能公演の準備においての裏話や当日の感想などをお話しします。

伝統芸能を身近に

 ろうそく能の公演に向けて学生スタッフとして最初に顔を合わせた際、自己紹介で「能の知識がゼロに近い人」がほとんどでした。ここで少し説明を入れておくと、「ろうそく能」とはろうそくを灯して上演する能で、揺らめくろうそくが能の雰囲気を形作るものです。このような基本的な知識もないまま、準備がスタートしました。不安でいっぱいでしたが、能に詳しいホルスト先生(国際文理学部教授)のご指導を受けながら、どんなものにしていくのか話し合いを重ねました。当日配布するパンフレット作成チーム、能の理解を助けるための現代語訳の投影スライドを作るチーム、そして会場の飾りつけや展示を行うデコレーションチームに分かれ準備を進めていきました。私は、デコレーションチームで展示物のPOPや演目「半蔀」のキーポイントである夕顔の花のイラストを作成しました。
 公演一週間前のナデシコ・ナイトでは、ホルスト先生による能の事前知識のお話を聞いたり、実際に能で使用する面を見たりして期待感が高まっていた記憶があります。公演当日がすぐそこにまで迫った日、これまでにそれぞれのチームが作成しているものを見ることができて何とも言えないじんわりとした嬉しさを感じました。一人一人、自分の予定と向き合いながら、直前まで微調整を重ね、よりよいものになるように動いていました。

学生らしさがある公演

 ついに本番、自分たちで作った展示のPOPや飾り、パンフレット、スライドに少し恥ずかしさを覚えながら入館し、そわそわしながら席に座って開演を心待ちにしました。開演前の挨拶の中で「学生らしさが出ている」という言葉に私がここに関わった意味を見つけたような、そんな気持ちがしました。完璧にできなくても学生にしか発想できないもの、つくれないものがある、そう思うことができました。
 狂言の間抜けな山賊のお話「痩松」の後、ろうそくを配置し、ろうそく能「半蔀」が上演されました。幻想的な雰囲気の中、ゆっくりと進んでいく時間に虜になってしまうような、素敵な空間でした。そして、自分たちが作ったものが表現の一部になる嬉しさを知ることができました。

 余談ですが、公演のアフタートークの中で演者の方が「能の公演に来ていつも同じ場所に座って、ずっと寝ている方もいます(笑)」と仰っていたことが心に残っています。内容を理解するのも、雰囲気に身体を預けてウトウトするのも一つの能の楽しみ方かもしれませんね。

国際教養学科 1年 花田くる美

初音ミクなどが歌っているボーカロイド曲が好きです。
最近よく聞く音楽は有機酸さんの「quiet room」
(福岡県立香椎高等学校出身)
(2022年度執筆)
 

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