リーダーシップが架橋する、私たちの「学び」

 ※こちらの記事は『私のリーダーシップ』ジャーニー2024で紹介した内容の一つのノーカット版です。

学生委員活動や授業をつなげてリーダーシップを考えてきた

【佐々木】ふうちゃん!2年間の学生委員の活動お疲れ様!
【畑】長かったね~、ことちゃんと2年間も同じ部会で活動できて楽しかった!
【佐々木】それな!同学年だからめっちゃやりやすかった!リーダーシップ論の授業も同じやったけんね~。
【畑】留学も同じ時期に行くから、不安なことも話せて心強いよ~。
【佐々木】ほんとにそう!でもこの2年間でふうちゃんと一緒にいろんな活動をしたけど、それぞれリーダーシップについて学んだこととか感じたことは全然違うと思う。
【畑】確かに。それぞれのリーダーシップの変化、気になるかも!

左側:畑風歌(ふうちゃん)、右側:佐々木琴美(ことちゃん)

これまでの「リーダー」のイメージってどんな感じ?

【佐々木】私はこれまでリーダーについて良いイメージがなかったな~。なんか自分はリーダーになるタイプじゃないって思ってたし、そんな勇気も主体性も持ってないって否定的だった。
【畑】ええ~!全然そんな風に見えなかったよ!私は逆に今までいわゆる”リーダー”っていう役職に就いたことが多かったから、その延長線みたいな感じで大学でもなにかやってみたいなくらいの軽い気持ちで始めたよ。
【佐々木】ほんとに真逆だね(笑)。私は正直リーダーになって、みんなの前に立ってかっこよくチームをまとめられる人になりたい!っていう思いはあったんだけど、自分は内気だからって思って出来なかったな。
【畑】私は学生委員を始めてから同じ委員の中でもことちゃんにみたいに向いてないって思っている人がいることを知って、そんな風に自分を下げる必要ないのになって思ってたよ。
【佐々木】そんな風に思ってたんだ!以前の私だったら絶対ふうちゃんみたいにリーダーになる人のことを羨ましがってた。いいなあ、主体的ですごいなぁって。
【畑】以前ってことは、今は違うってこと?
【佐々木】そうだね。大学でリーダーシップについて学ぶ機会が多くて、全く違う考え方を持つようになった!

「リーダーシップ」との出会い

【畑】学生委員の活動では、正直に言うと、経験豊富な先輩についていくばかりだったなあ…だから主体的に行動できなかったことが心残りだった。
【佐々木】ほんとにそう。1年生だからって先輩に仕事とか任せてしまってた部分がたくさんあって、申し訳ない気持ちと、でも1年生だから出しゃばらない方が…みたいな思いに縛られてた。
【畑】自分がどうしたらチームの役に立って、共同作業に参画できるかみたいな、サポートする側にいたと思う。だから次年度からは、自分から意見を先立って発信したり、方向性について誘導できたりするような、積極性も鍛えていきたいって思ってた。
【佐々木】私は学生委員のセッションで初めてリーダー=リーダーシップじゃないってことを知ってただひたすらにびっくりした。だってリーダーになる人がリーダーシップを持つ人だって思ってたもん(笑)。でもそんなことなくてみんながそれぞれ持ってるんだ、私にもあるんだって嬉しくなった。
【畑】私もそれはその時初めて知った!何となくリーダーってみんなの前でかっこいいことをやる人のことだと思っていたけど、周りの皆も含めて全員で関係性を築いて発揮するプロセスがリーダーシップなんだって分かった。
【佐々木】そうそう!あとは“自分が苦手だと思っていることも含めて自分だと肯定する”ってことも学んで、これまで性格に否定的な考えを持っていた自分には新鮮な視点だったな。自分の弱い部分は否定しなくていいんだって。

2022年度キャリア支援部会学生委員チームが企画したイベントにて

無意識の囚われに気づく

【畑】2年生では1年生の時の自ら動けなかった自分から変わりたくて、学生委員を継続しつつ、新たにグローバルリーダー演習とリーダーシップ論を履修することにしたんだ。自分がリーダーシップにいつも触れられるような環境に身を置きたいと思ってた。
【佐々木】副専攻の活動の中でうまくいかないことも多いって話してたよね。
【畑】そう。最初はやる気いっぱいで始めたはずなのに、同じチームメンバーとのモチベーションの差で自分が活動の大半を担わないといけなくなったことがあって、自分がやらないと!っていう義務になっていったのがしんどかった。でも、この時にはまだこの「しんどい」っていう感情への対処が分かっていなくて、ことちゃんや母に相談に乗ってもらってたんだ。
【佐々木】そうだったよね。私たち、学生委員の活動でも途中仲間との意識に差が出てて「どうしたらいいんだろう」って結構悩んだよね。ふうちゃんはそんな中でどうやってその「しんどい」から抜け出したの?
【畑】リーダーシップ論で学んだコルトハーヘンの氷山モデルを思い出して、自分がなんでつらいのかをまず知ろうと思ったの。そうすると、私は「受け入れられること」「認めてもらうこと」「信頼」のニーズが満たされていなかったことに気づいた。やると決めたことは最後まで完璧にやらないと、優等生でいないとっていう無意識の囚われが、このニーズを満たすことを邪魔してたんだと分かったの。
【佐々木】なるほど!そうやって周りに意識を向ける前に自分がなんでそう感じるのかってまずは認識するのってすごい大事だよね。
【畑】うん。だから、自分ばかりやってる…って考えるのをやめて、自分が全ての成長を独り占めしていると捉え方を変えてみたんだ。今まで自分の感情をネガティブにしていると感じていた企画書やポスター作成など多くのタスクを、義務ではなく自分を成長させてくれるイベントだと考えて、これを乗り越えられれば自分はもっと強くなると捉えるようにしたら、しんどさが減っていったかな。
【佐々木】そうやって自分のこれからに繋がってるって考えることができるようになるのがすごい...!ふうちゃんらしいね(笑)。
【畑】ありがとう。ことちゃんの2年目はどうだったの?
【佐々木】私は正直1年目は自分のリーダーシップを学んだというよりも、リーダーシップ全体を大まかに知った、みたいなところがあって…。でも2年目で履修したリーダーシップ論の授業ですごく考え方が変わったんだよね。これまでは1年目のときに自分の弱い部分を「否定して」、それもひっくるめて自分だって思ってたんだけど、それが「否定する必要もないな」って感じるようになってきて...。
【畑】そのきっかけはなんだったの?
【佐々木】なんだろ、私はこれまで自分のことが内気だ、主体性がないって思ってて、さっきの1年目の気づきのところで話したみたいに、そんな自分の弱さも否定していいんだって思ってたの。でもそうすると否定したことで、そこにあった自分の価値観とか在り方全部を排除してしまうから、それ以上何も広がらないじゃんって気づいた。自分への思い込みがそのままの状態で何も変わらないな、って。
【畑】否定することで、真正面から自分と向き合うことを避けてたんだね。
【佐々木】そうそう。リーダーシップ論の授業で意識的に「※①メタ認知する」ってことを心がけてたんだけど、そんな中でグループワークで自分の意見を伝えるときに、自分がその否定していた性格への思い込みにすごく縛られてるってことに気づいたの。「私は内気だから」っていうのが根底にあって、でもそれを否定したのも全部ひっくるめて「自分だ」って思えるようになったはずなのに、その思い込みで結果自分の行動が縛られてるじゃんって。でもそうやって自分のことを認識するのって私にはすごく怖かった。
【畑】ことちゃんも、無意識の囚われから抜け出すことが必要だったんだね。
【佐々木】1年目は「否定して、さあどうしよう」だったんだけど、2年目で「その否定していることに縛られてるってことを認識してから、じゃあどうしよう」って考えることができた。「自分は内気だから、主体的になれないから」っていう考えにとらわれているって気づいたことで、自分の行動の選択肢が広がったし、自分を違う目線で見ることができた!だから1年目の時に感じてた「後輩だから」っていうのも、それも縛られてたし、そう考える必要なかったんだな~って。
【畑】その縛りに気づいてからどう行動するかが肝心で、今までの考え方から抜け出さないとまた同じ道をたどってしまうから難しいよね。
【佐々木】確かに!この認識の仕方を得た上で、これからは自分のリーダーシップ行動にももっと目を向けたいな。

※①メタ認知とは、「認知についての認知」、つまり自分自身の言動、考え方などを客観的にとらえ、認識すること。リーダーシップ開発教育において重要視されると共に、ビジネスにおいても言及されることが増えている。メタ認知能力を高めることで、考え方の幅が広がり、前向きに行動しやすくなったり、人間関係における悩み事の改善に役立つとされる。

  • コルトハーヘンの氷山モデル(2023年度「リーダーシップ論」第13回スライドより)
  • 2023年度キャリア支援部会学生委員チームが企画したイベントにて

ありたい自分・チームになるために私はこれからどうしたい?

【佐々木】実は、私今春季の海外短期研修でリーダーをしてるの!
【畑】ええ~!早速実践に移してるじゃん!
【佐々木】以前だったら「自分がリーダー?!無理!」って思ってたんだけど、今は自分がどう動いたら仲間が研修活動がしやすくなるのかなって考えてから行動できてると思う。例えばLINEでの声掛けとか、かける言葉一つでチームの雰囲気も全然違うようにもなるなって実感してるところ!
【畑】他者に配慮した何気ない一言や働きかけが積み重なって、良い雰囲気は作られていくよね。
【佐々木】ほんとにそう!私が動いたことで仲間がこう思うんじゃないか、って考えるのもそれも結局自分の思い込みでしかないから、まずは自分がどういうチームにしたいのかを考えてるかな。でも2年目は自分にベクトルを向けてリーダーシップを考えたから、そこから外への働きかけの部分にこれからはもっと意識を向けたい!ふうちゃんはこれからに向けての意気込みとかある?
【畑】私はチームの中でモチベーションに差が出て、目標達成はできるけど集団であることの利点を十分に生かせなかったことが反省点だったから、今後はチーム内で温度差が出ないような関係づくり、特に他者との信頼関係を重視して何でも気軽に相談したり急な対応でも仲間に頼ったりできるような雰囲気を作り出せるようになりたい。
【佐々木】チーム内の関係性って本当に重要だよね。私も学生委員の活動ですごくそれは感じたな。でもその意識のうえで関係性を自分から創り上げるっていう行動が伴ったリーダーシップに繋げるのも大事!
【畑】今までの経験上、遠慮のせいで働きかけが十分にできなかったことが多かったんだよね。だから、これからは他者を配慮してる「つもり」だけの遠慮から抜け出して、自己開示していこうと思ってる。他者を理解するには、他者にも自分を知ってもらう相互理解が必要だと思うから、自分が他者をケアすると同時に他者が自分をケアしやすい環境を作ることも重要だと思うんだ。他者と関わることをあきらめずに、これからも自分を知ってもらって、自分も知っていきたい。
【佐々木】働きかけだけじゃなくて自分を見せる行動も大切だよね!私たちは学生委員の活動だけじゃなくて、遊びに行ったり相談し合ったりっていう遠慮のない関係性があったから、お互いに自己開示もできたし相手をケアすることができてたよね。
【畑】そうだね。人数が増えるほど責任感や関係性が薄くなっていくと思う。だから、日々活動や業務に関係ないことでもスモールトークを積み重ねていって、個々の結びつきを強めていくことが、必要以上に踏み込まない関係性が増えている現代の私たちには必要なんじゃないかな。

二人で熊本県に旅行に行ったときの一枚

国際教養学科2年 佐々木琴美さん(福岡県立八幡高等学校出身)
国際教養学科2年 畑風歌さん(福岡県立福岡高等学校出身)
(※2023年度執筆)

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