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活動報告2026.04.03

グローバルリーダー演習履修生 (GL24) 活動報告: 「変わりたい?やってみて描き続ける『ありたい自分』」をアップ!

2024年にグローバルリーダー演習履修をスタートし、2025年度に2年目の学びを重ねたGL24生による年度報告です。2024年度の活動報告以降のチームの軌跡を彼女たち自身の言葉で綴っています。

GL24メンバー曰く、「『変わりたい』という想いを心に抱えたまま、『変われない』自分を諦めたくないひとへ贈りたいメッセージ」とのこと。どうぞご覧ください! 
 

【GL24・2025年度活動報告】変わりたい?やってみて描き続ける「ありたい自分」

「変わりたい。」 

もうすぐ新年度。漠然と、でも確かに「変わりたい」と、自分の成長を思い描いたことはあるだろうか。

この気持ちを行動に移さないままに時間だけが過ぎるという後悔はしたくない。2年前、変わりたかった私たちは、成長しようとGL演習に飛び込んだ。 

だが、何のために、どう変わりたいのかが曖昧だった私たちは、そう簡単には変われなかった。ただ変わりたいと思っているのではなく、「成長したい」の先にある目的を描くこと、そして、チームと共に「やってみる」を繰り返す中で、目的そのものと、その目的に向かう「ありたい自分」像や「ありたいチーム」像を更新する必要があったのだ。 

「変わりたい」という想いはあるのに、そのための行動が伴わない自分に気づき、真正面から向き合うことは正直しんどい。それでも、「ありたい自分」になっていくことを諦めたくない。他者(ひと)と出逢い、かかわりあいたい。そして私たちが生き・生かされる社会が、よりよい世界であってほしい。そう願うとき、私たち自身がその世界をつくる自分たちになっていくポテンシャルを信じて、まずやってみる。そして、そのプロセスで感じ考えたことを活かして、更に「やってみる」ことで、「ありたい自分・チーム」になり続ける旅が始まる。  

2年間のGL活動を経て、それをひしひしと感じている今、「やってみる」から得ることができた「収穫」を、みなさんにも共有させてください。
 
【目次】 
1.グローバルリーダー演習 (GL演習) とは
2.合言葉は「まだまだまだまだ自分」!
3.GL24のあゆみ―1年目
4.GL24のあゆみ―2年目
5.収穫①目的を描き意図して行動することの重要性
6.収穫②何事も関係性が土台 プロセスは自ら働きかけつくるもの
7.「ありたい自分」にさせない社会の壁
8.「グローバルリーダーたる自分」に「なり続ける」のは何のため?
9.おわりに

1.グローバルリーダー演習(GL演習)とは
 

次代の女性リーダー育成を掲げる福女大の創設100周年を記念し、福女大の副専攻プログラムの一つとして、グローバルリーダー(GL)副専攻プログラムが2022年度に新設された。そのプラットフォームとなるのが「グローバルリーダー(GL)演習」だ。

GL演習では、他者と共に「やってみる」「感じる」「考える」を何度も繰り返すプロセスでの学びを言語化して省察することで、身につけていく。ただひたすらに「やってみる」のではなく、リーダーシップやグローバルリーダーについての理論と実践を往還しながら、自己・他者・社会、それぞれに対して「ありたい自分」を検討し、それに基づく行動のありようを探り、実装していく。そのために、どのような行動が、どのようなリーダーシップ・プロセス*を織りなすのか、そして、どのように自分の身近な社会(ローカル)とグローバル社会が相互につながっているのかを考える。

*リーダーシップは、個人が有する役割や特別な能力のことではなく、人々の間に生まれるプロセスという捉え方。「人々が共にポジティブな変化を成し遂げようとする、関係的で倫理的なプロセス」(コミベズ他, 2013 [日向野監訳 2017], p.95)。 
GL24メンバー(左から、福田優月、上村明空、梅木乃々佳、三宅佑奈)

2.合言葉は「まだまだまだまだ自分」!
 

ここで、この記事の執筆メンバーを紹介する。「変わりたい」「成長したい」「仲間がほしい」という想いを胸に、2024年度から2年間、GL演習を履修したチームがGL24だ。メンバーは、上村明空(国際教養学科3年・河原ゼミ・25年度体験学習「『狩猟』からみつめなおす暮らしと仕事(狩猟P)」「学生提案型体験学習」)、梅木乃々佳(国際教養学科4年・鈴木ゼミ(26年度〜塚野ゼミ)・24年秋~1年間アイスランド交換留学)、福田優月(環境科学科4年・竹内ゼミ)、三宅佑奈(国際教養学科4年・24年度: 深町ゼミ・25年度: 塚野ゼミ・24年秋~1年間クロアチア交換留学)の4名。所属するゼミも様々で、複数のリーダーシップ科目を履修するメンバーもおり、より学びの架橋を実践できるチーム編成となった。 
*所属学科・学年は2025年度のもの。 
 
私たちは、和栗百恵先生、豊貞佳奈子先生のご指導のもと、自分たちはもっと成長できる=「まだまだまだまだ自分」を合言葉に、様々な試行と未成功・小さな成功を通じて、自分自身と向き合い、他者や社会とのかかわりを考え、グローバルリーダーたる自分のありようを描こうとしてきた。 
  
「描く」にあたってGL演習で鍛えられるのが「書く」こと。生成AIに頼んで瞬時に出来上がるものとは違い、演習内で積み重ねた未成功・小さな成功を、自分たちの言葉で振り返るプロセスから、これからの自分にどのように繋げるかを考えてきた。この記事では、学年や学科の違い、メンバー2名の留学中は時差も越えて、たくさん動き、チームとして成長してきた成果をカッコよく記したいところだが、2年目の後半になって、「わかったつもり」でいたことをやっと自覚し、泥臭くもがき続けているリアルを「収穫」として書き残す。主な書き手を、いつも詰め込みすぎの文章で伝えたいことがぶれがちな梅木乃々佳が担い、他3名と共に推敲を行ってチームとしての語りを紡いだ。

3.GL24のあゆみ―1年目
 

グローバルリーダーとの出逢い
1年目(2024年度)、「変わりたい」とGL演習に飛び込むも、「ありたい自分」を具体的に描いていなかった私たちは、「グローバルリーダー」と名の付く授業でありながら、「グローバルリーダーになりたい」と強く思うわけでもなく学び始めた。そんな私たちだったが、1年目の終わりに、漠然とした成長像ではなく、「グローバルリーダーたる自分」を捉え始める。それができたのは、リーダーシップの理論・概念や、「グローバルリーダー」たる社会人たちとの出逢い、共にもがきながらリーダーシップを学ぶ仲間と、私たちの「伸びしろ」を信じることを諦めずに向き合い続けてくれる先生の存在、チームでの実践を繰り返し省察するプロセスがあったからだと振り返る。
  
※2024年度の学びの軌跡はコチラの記事から! 
前編:2024年度1年間のあゆみと各活動のダイジェスト
後編:私たちのグローバルリーダー観

みんながリーダー、リーダーシップはプロセス
私たちがGL演習で出逢った「リーダー」の概念では、誰もがリーダーだと捉えることができる。これは、Komives, Lucas & McMahon(2013)の提唱する関係性リーダーシップの考え方だ。このモデルでは、リーダーとは「変化をもたらすために、他者に積極的に関与するあらゆる人物」(コミべズ他, 2013 [日向野監訳 2017], p.47)であり、リーダーシップとは「人々が共にポジティブな変化を成し遂げようとする、関係的で倫理的なプロセス」(コミベズ他, 2013 [日向野監訳 2017], p.95)だという。リーダーシップが「プロセス」であり、そのプロセスに関与する「あらゆる人物」がリーダーであれる...つまり、リーダーになっていくことは、生まれながらの特別な能力・権限をもつ役職や、肩書をもつ特別な誰かの話ではない。自分もポジティブな変化をもたらすために、他者に積極的に働きかけようとプロセスにかかわっていけば、私たち一人ひとりがリーダーであれるということだ。

個人は誰でも、良くも悪くも他者に影響を与えうるため、自分の所属するチームや、組織、地域社会で起きていることは自分にも相互的に関係がある。よって、課題だらけの社会において、自分の有限な人生を意味づけ、活かすため、日々のチーム活動や社会への働きかけを通して、「ポジティブな変化」を起こせる自分でありたいと私たちは思うようになった。 

GLで出逢った「グローバルリーダーたる自分」
私たちは、「リーダーたる自分」を描くと同時に、「グローバルリーダー」の概念とグローバルリーダーたる社会人との出逢いを通して、その像が自分とどのようにつながるのか探ってきた。

グローバル化が進行した今日、気候危機や経済不況、伝染病の蔓延、紛争といったグローバルレベルでの事態や情勢が、私たちの生活に覆い被さっている。多様な価値観や文化がせめぎ合うことでさらに複雑化し、ローカルへも影響する。国家単位で物事を決め社会を回す構造が崩れ、国境を越えた人・資本・情報の移動が加速した。それによって問題に関係する主体が複数の国にまたがり、グローバルとローカルが相互に影響し合うことで、解決には国家・企業・地域社会・NGOなど、複数の行為主体が同時に関与せざるを得ない課題が増えた(Perucci, 2022)。そのような、一主体だけでは解決できない複雑な課題を解決するため、「地域、国家レベル、国際レベル、そしてグローバルな問題に取り組む多様なプレーヤーを引き合わせ、協働していくための触媒の役割」を果たすグローバルリーダーが求められている(Perucci, 2022,p.16)。 

この概念をベースに「グローバルリーダー」たるとはどのようなありようなのかを問いながら、私たちは、「普通」とは少し違う「おかしな」取組をする多様な社会人の価値観と生きざまに刺激を受けた。彼女・彼らは、グローバル社会がローカルにどう影響するのかを知り、ローカルにその地で生きるひとと出逢い、相手を知り、協働するための努力を積み重ねている。グローバルリーダーたるありようは、草の根レベルで、「誰の何のために」を考え、行動するという日々のプロセスから始まるのだと、私たちは気づいた。そして、自分たち自身が、彼女・彼らのようなグローバルリーダーたるありようを描くためには、「私はどうありたいか」を考え、試行を繰り返すことが大切であると知った。 

1年目にチームで働きかけ合い、場づくりをするプロセスを通して、織りなされた布をさらに重ね縫い合わせるように、色々な文脈をもつ主体同士をつなぎ合わせ、協働を促す「触媒」であろうと試みた私たち。そんな自分たち自身をグローバルリーダーとして捉え始め、「ありたい自分」として、自分はどんなグローバルリーダーであれるのかを描き始めた。
2025年度GL24のあゆみ 

4.GL24のあゆみ―2年目
 

そして今年度(2025年度)の春、「グローバルリーダーたる自分・自分たち」になっていくために、私たちは、「もっと成長したい」「みんなと何かやり続けたい」「GLの輪を拡げたい」という意欲をもって、2年目もGL24で「やってみる」を続けることを選んだ。
 
※あじびとのコラボイベントの様子はコチラからご覧ください!

私たちは2年かけて、一人ひとりがグローバルリーダーたる自分であれるという可能性を信じられるようになった。それは、突き詰めたときに、「関係性をつくる」という、日常の小さな積み重ねが、社会を動かすための具体的な行動として浮かび上がるからだ。ローカルに動き、グローバルにポジティブな変化を起こしていくというグローバルリーダー像は、GL24が2024年度に出逢った、グローバルとローカルを往還し、役割や組織、国家の枠を超えて「橋渡し」をする社会人の姿と重なる。グローバルリーダーの理論・概念を実装する人たちとの出逢い、そして次章で述べる2025年度の試行を経て、私たちは、グローバル社会において「ポジティブな変化」を生み出すグローバルリーダーシップ・プロセスとは、よりよい社会のありようを具体的に描き、関わる人全員がプロセスに積極的に働きかけ合い、チームのために何ができるかを自ら探して行動することによって、織りなされていくものだと考えている。

だが実際は、「圧倒的な量の実践機会」(GLの特色)から1年間学んできたはずなのに、2年目の私たちはなかなか変わっていかなかった。自分とチームは螺旋状に成長しているはずと信じて突き進んでいたものの、自分中心の行動ゆえに報連相を怠る、自分たちで決めた期限までに質を伴う成果物が仕上がらないなどの失敗を繰り返し、関係的リーダーともグローバルリーダーとも程遠い状態を引きずっていた。

ここから、2年目を終えようとする今、私たちが「グローバルリーダー」を実装していくために必要だと気づいた2つの「収穫」を共有したい。

5.収穫①目的を描き意図して行動することの重要性
 

「何のため」と関係性リーダーシップ
まず、グローバルリーダーたる自分になっていくために「変わりたい」と行動するときに重要なのは、それが「何のため」かを問うことだと気づいた。これは、「やってみる」ことそのものへの自己満足に留まるのではなく、誰の何につながるのか、自分がどう成長することが、他者や社会にポジティブな変化をもたらしうるのかを考えるということだ。GL演習で学んだ、Komivesら(2013)の説く、関係性リーダーシップモデル(RLM)では、その5つの構成要素の中核に「高次の目的を意識する(purposeful)」が据えられている。関係性リーダーシップは「社会的責任」をその目的かつ前提としており、それを志したプロセスを構成する5つの要素が重なっている。それらの要素は、チームが関係的なリーダーシップ・プロセスを織りなすためにどれも欠かせない(Komives et al.,2013)ため、図で紹介する。

より高次の目的に向かうためには、他者との協働が必要だ。なぜなら私たちは良くも悪くも、常に誰かに影響を与える存在であり、ポジティブな影響を与える行動をする一人ひとりが集まることで、チームや社会にポジティブな変化を生み出せるからだ。例えば、プロジェクトの進捗状況をチームに共有したら、チームの他のメンバーも次にどう動くか考えることができたり、自分も頑張ろうとやる気につながったりする。つまり、常に目的の先を考え続けることは、対他者・社会で「ありたい自分・自分たち」になっていくプロセスなのだ。

「何のため」の自己成長?
関係性リーダーシップを前提に、私たちの成長が「何のため」であるのかを考えると、私たちが「グローバルリーダーたる自分・自分たち」になっていくには、他者や社会にとってどんな自分でありたいかを考えることが重要だ。このことについて、私たちの経験を例に考える。

高次の目的を意識したから実現できたのが、2025年度ラストに行った企画「解放Weeeeek!@FWU (解放P)」だ。この企画は、11月開催の国際NGO職員・長島美紀さん企画で残った課題が背景にある。GL25(2025年度からGL演習を履修したチーム)の中野朱梨が「このままじゃ終われない!」と卒業を目前に最後の最後までチャレンジしたいと呼びかけ、GL24もスイッチが入った。中野朱梨の姿勢と行動は、授業だから・自分が成長したいからではなく、福女大の文化をつくろうという高次の目的意識から生まれていた。その目的意識のもと、「解放Weeeeek!」という対話の場で様々な葛藤や気づきを分かち合うことを通じて、私たち自身そして身近な「社会」である大学のよりよいありようを描き出そうと試みるものだった。

逆に、目的意識がないままの行動や、もはや何もしないことは、他者への配慮に欠ける行動につながり、周りを困らせたり不快にさせたり、機会を逃したりもする。私たちは、企画書や展示物の制作、日々の報連相を形だけ・忘れ怠り、何度もやらかし、他者にも「痛い」思いをさせた。その経験が、教訓として「収穫」になったのだった。

「何のため」の実装?
描いた「何のため」=目的を達成するには、三つのことが必要だと私たちは考える。一つ目は、意識的に「何のため」を問い続けること、二つ目は「何のため」に向かい意図的な行動をすること、そして三つ目は、実行するスキルを身につけることだ。スキルもまた、意図して学ばなければ身につかない。

これを痛感したのが、長島美紀さんとの企画だった。私たちは、長島さんに、オンライン上で事前打ち合わせをする時間をいただいた。予定していた時間は60分。だが、企画書に沿って企画内容を説明し、用意していた相談事項を話し合い、たった40分で終わってしまったのだ。打ち合わせの目的を意識しながら望んでいれば、企画当日をより活発に深く議論できる場にするために、長島さんともっと関係づくりをすることができたはずだ。まずは相手を知ろうという意図をもって、初めましてのあいさつをしながら緊張をほぐし、相手が話しやすい・もっと話したいと思えるような会話のラリーをすること、ミーティングの進め方や問いかけの仕方、そして自信のある話し方や表情を積極的に見せることがスキルとして必要だった(身につけようと意識してやらないとせっかくの機会もなんとなく過ぎてしまう)。

他にも、企画書の文章やデザイン、日々のメールのやりとりや、チームメンバーのことをより深く知るためのコミュニケーションなど、目の前のことに対しても「何のため」を問い、行動することの積み重ねが、より良いチームと企画をつくり、何のための企画かという高次の目的へ近づくために不可欠なのだ。
関係性リーダーシップモデルを説明した図をGL24が翻訳(Komives et al., 2013)
解放P準備中の様子

6.収穫②何事も関係性が土台、プロセスは自ら働きかけつくるもの
 

「グローバルリーダーたる自分」へとなっていくために、もう一つ大事なことは、関係性の重要性を理解することだ。それは社会にポジティブな変化をもたらすという高次の目的へ向かうプロセスが、他者とのかかわりによって織りなされていくものだからだ。

GL演習は、チームで「やってみる」を通して、共創のプロセスにおいて他者とどうかかわりあっていくのかを学ぶ場でもあった。GL24と違うメンバー3名を交えての25年度後期は、自分自身がチームのメンバーにとって一緒にやりたいと思えるひとであれているのか、つまり関係的・倫理的であるか、そのためにどんな具体的行動ができるかを問い・問われる泥臭い学びのプロセスだった。
  
2024年度、1年間を走り切って、すっかり心強い仲間になり、関係性ができたと思っていたGL24だったが、GL25の中野朱梨・渕野柑菜、狩猟Pメンバー下田薫子との2つの企画を経て、お互いのチームへのかかわり方について、本当に言うべきことを飲み込んでいたと気づくこととなった。

GL24結成当初から、問題や違和感に気づいても、なんとかなるだろう、自分がやればいいかと思い、メンバーが「もっとこうしたらいいのに」という指摘を遠慮して言えない状態はあった。そんな「GL24モード」への2年目の慣れから、お互いの人柄をもっと知ろうとか、お互いの得意不得意をふまえたチームの成長のためには何が必要かを考えられていなかったのだ。相手にとって耳の痛いことを率直に伝え合うのは、エネルギーを要する。それでも、関係的・倫理的であろうと「本音」を伝えることは、活動自体をよりよくするために必要であるとともに、仲間がチームにとって真に大切であることを示すために不可欠だ。本音を伝え合い、鼓舞し合い、チームメンバーとしての相乗効果を生み出し合う、そんなリーダーシップ・プロセスを創り出していけることに気づいた。 

そして何より、チームとして、一緒にやりたいと思い合える関係であれば、目的に立ち返るプロセスそのものに喜びを感じ、しんどいときも踏ん張り続けられる。その関係性が最も沁みたのが解放Pだ。約1か月半、展示パネルやポスターなどいくつも仕掛けを考え、創り上げるためにひたすら理論と向き合い、チームで動いた。GL24メンバーは、時間をかけても実力が伴わず、予定までに仕上げられなかったり、質が低かったり、先生やメンバーの足を何度も引っ張り、上述したように目の前のタスクを仕上げることがだんだん自己目的化していった。そんな時、GL25の中野朱梨が「関係的で倫理的」を実装しようと行動で示してくれたことで気づかされたことがある。

その一つが、プロセスに自分自身がどうかかわるのか、なぜ上手くいかないのかを真剣に話し合う場をつくることだった。そのような場においては、「今私たちは絶対歩んでいる」とお互いの成長を信じること(関係性リーダーシップの要素のひとつ「プロセス志向(process-oriented)」)や「私たちならできる」と力づけ合うこと(「エンパワーする状態(empowering)」)をみんなで実践し、自分たちを再び目的へ向かうよう鼓舞し合った。 

こうしてチームとかかわり、みんなのために踏ん張ろうと思える関係性があることの強さと、高次の目的に向かう関係的・倫理的プロセスが、自らが積極的にかかわってこそ織りなされていくものであることに、2年を経て気づいた。

7.「ありたい自分」にさせない社会の壁
 

私たちは、GL24の2年間で「やってみる」プロセスを経て、「学びと成長」への意図とスキル、そして関係性の2つが、「ありたい自分」=「社会にポジティブな変化を生み出すために、他者や組織をつなぐ『触媒』としての自分」になっていくために必要であると気づけた。この2つの学びの重要性を痛感できたのは、GL演習で、たとえ空振りでも前進しようと行動を繰り返したからだと考える。社会とつながろうとして他者と出逢い、他者や社会にとってどんな自分でありたいかを考えたことで、「ありたい自分」と、「ありたくない自分」が見えてきた。 
 
ただ、私たちが「ありたい自分」に変わっていくのは容易ではなかった。その難しさは、個人と社会の両方に要因がある。一つ目は、権力や能力を重視する社会からの「スーパーマンみたいなすごい人になるべき」というメッセージと、自分らしく「そのままのあなたでいい」という矛盾したメッセージを無自覚に内面化し、何のためにどのように変わっていくかを、具体的に考え尽くしていなかったことだ。しかし、2年間「やってみる」を重ね、繰り返し問い・問われることで気づくことができた―自分たちが思い込んでいたよりもずっと泥臭く小さな行動の積み上げをつなげることで、結果「変わる」になる。

二つ目は、「女の子は控えめの方がいい」というようなジェンダー規範や、特別な誰か(いわゆる「リーダー」)だけが正しく事をなしていくという固定観念、そして「それはおかしい」と声をあげると批判されるような「出る杭は打たれる」文化によって組み込まれた、波風を立てないことをよしと思わせる社会構造だ。それが、「変わりたい」を空洞化させ、変わるために必要となる「本音」や本気の働きかけを、仲間に対してのみならず自分に対しても「控えめで、波風立てない」にさせている。今でも、自ら積極的に働きかけず、声を上げず、「控えめで、波風立てない」方が、生きづらくない、と正直思ってしまうのだ。 

8.「グローバルリーダーたる自分」に「なり続ける」のは何のため?
 

では、(無自覚に曖昧で、波風を立てまいと生きてきた)私たち自身がグローバルリーダーになっていくのは何のためだろうか。今の私たちが「グローバルリーダーたる自分」をどう描いているのか書き記したい。

この世界には、生まれ落ちた場所や属性によって、可能性を制限されたり、差別や暴力を受けたり、不当な不利益を被るひとがいる。その不当な不利益は、社会の構造によって、強化・再生産されていくものである。誰もがその負のサイクルに取り込まれていて、抑圧され、加担することもある。例えば、気候変動危機のように、特に先進国における人間の過度な消費生産活動によって、後世が生きづらくなっている。その中でも、地理的に、あるいは経済的に、またはジェンダーなどによって社会的に、悪影響を受けやすい人々がいる。そんな不条理な社会で、私たちは、これからの社会のありよう、それをつくる自分たちのありようを問われているのだ。GL演習・大学での学びを経て見えてきたのは、自分や自分の大切なひと、そして社会を共に生き、あるいはこれから生きていく誰かが「不当な不利益」に苦しむ状況を受け入れたくない、何もしないまま指をくわえて見過ごす生き方はしたくないという私たちの価値観だ。

GL演習で、企画づくり・チームとのかかわり・自分との対峙を繰り返した2年間の実践のプロセスから、私たちは、誰かにポジティブな影響を与えることができるかどうかは、自分のありよう次第であるということを痛感した。「グローバルリーダーたる自分」として成長していく個人の働きかけが世の中をまるっと変えていけるわけではないが、よりよい社会に向かうためには、個人の小さな行動の積み重ねが不可欠であることは確かだ。だからこそ、一人ひとりが、他者と社会に対し自分がどうありたいかを具体的に描き、他者に関係的・倫理的であろうと意図的に働きかける行動を試行し模索することが重要だと私たちは考える。それは、社会に生き・生かされる自分自身が「ありたい自分」になっていくためのプロセスとして、「なり続ける(becoming)」リーダーシップ・プロセスそのものである。

9.おわりに
 

私たちのように「変わりたい」と葛藤するひと、志を持っているはずなのにどこかで諦めてしまうひとにこそ、泥臭く「やってみる」ことの価値を伝えたいと思い、GL24の「収穫」を綴った。その実践と省察を繰り返した先に、自分自身と他者とのつながりに気づき、何のため・どうありたいかを描ける。

目的の先を常に考え続けること、その目的に向かうという意図をもった行動をすると同時に、実行するためのスキルを身につけること、そして何よりも関係性を自ら織りなしていくことの重要性について学んだ2年間。この記事で「書く」ことで私たち自身がそのあゆみを意味付け、ありたい自分を描く糧にしようと言葉を紡いだ。このGL24のもがきの記録が、これから「変わりたい」を行動に移そうとする仲間にとっても、グローバルリーダーたる自分たちを描き続けるための肥やしとなるようにと願い、締めくくりたい。

【引用・参考文献】
[日本語文献] 
オーウェン, J. E. (2024).『リーダーシップはみんなのもの:フェミニズムから考える女性とリーダーシップ』(和栗百恵, 泉谷道子, 河井亨 (訳)). ナカニシヤ出版.  
コミベズ, S. R., ルーカス, N., & マクマホン, T. R. (2017).『リーダーシップの探求:変化をもたらす理論と実践』.  (日向野幹也 (監訳), 泉谷道子, 丸山智子, 安野舞子 (訳)). 早稲田大学出版部. 

[英語文献]
Komives, S. R., Lucas, N., & McMahon, T. R. (2013). Exploring leadership: For college students who want to make a difference (3rd ed.). Jossey-Bass.  
Perruci, G. (2022). The global dimension of leadership. In G. Perruci (Ed.), The study and practice of global leadership (pp. 3-16). Emerald Publishing.