新着情報 NEWS

お知らせ2025.11.04

OG対談記事いよいよ最終章を公開:「『女性リーダー』とは何か」

国際文理学部第1期生7名&旧学部生1名から成るOG有志8名による、卒業後10年余を記念した「対談形式」記事。第1章第2章に続く最終章は「『女性リーダー』とは何か」。担当は、MOMOKO、NAOKO、そしてTOMOMIの3名です。
OG在学時代のカリキュラムでは、現在のように「リーダーシップ」を理論的に学習する機会はありませんでした。そんな3名が、仕事や育児の合間を縫い、福岡と東京からオンラインで集い、時にはリーダーシップの文献も調べながら編んだ記事を、ぜひご覧ください!

第3章:『女性リーダー』とは何か

リーダーとは何でしょうか。
「与えられた役割」?
「一部の人だけが持つ才能」?
多様な価値観が入り混じる時代、「女性リーダー」の意味もカタチもアップデートできるかもしれません。
あなたなら、どんなリーダーとして社会に打って出たいですか?

「女性リーダー」像の変化
「『女性』リーダー」という言葉への違和感
リーダー?リーダーシップ?
社会で発揮されるリーダーシップ・プロセス
「次代のリーダー」である、福岡女子大学のみなさんへ
おわりに
子どもたちのためにもより善い社会にしていきたいMOMOKO。双子は最近動物に夢中。

「女性リーダー」像の変化


NAOKO:いよいよ最終章だね!この章では福岡女子大学の基本理念「次代の女性リーダー」について話してみよう。

まず、みんなは『女性リーダー』に対してどんなイメージを持ってた?私はね、学生の時も今も実はあんまり変わってはいないんだ。女性起業家とか、それこそ女性首相とか、女性都知事とか。どうしてもワンダーウーマンみたいな強靭なイメージを持ってしまうんだよね。 でもね、人生山あり谷ありで、常にワンダーウーマンでいられるわけでもないじゃない。落ち込んだら、仕事を辞めたら、私は女性リーダーじゃなくなるのか、って自問自答してる。

MOMOKO:わかる気がする!「強靭なイメージ」に重なるのが先日の自民党総裁選からの初の女性首相誕生かな。彼女の言葉や姿勢を見て、素直に、強い・かっこいいと感じた。例えば、「私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます」や「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」といった発言には賛否両論あるけれど、私には、自分の生き方で道を切り拓こうとする覚悟として響いたし、自分の意志をまっすぐに示す姿に力強さを感じた。

本当は、どんな女性の中にもそんな「強靭さ」や「しなやかさ」や「立ち向かう力」があるはずだけど、環境や役割や社会からの期待によって、それを見せることにブレーキがかかることは今でもあるよね。だから今回の出来事は、私自身にも問いかけられているようで、「私ももっと頑張らなきゃ!」と背筋が伸びる思いになった。それと同時に、冷静に彼女の政策を追って判断しなきゃと思っている。もうすぐ3歳になる双子のワーキングマザーとしてもね!
TOMOMI:私は、根底では変わらないかな。一番初めに女性リーダーに憧れを抱いたのは、高校の体育祭の女の子だけでやる創作ダンスのリーダーで、その人に憧れていた。人との関わりの丁寧さ、ひたむきさ、強さ、ポジティブさ、愛嬌とか、魅力的だった。今ふりかえっても自分にとって理想的な「女性リーダー」かな。 

NAOKO:私はね、今でも「女性リーダー」を目指しているの。明確な「役職」も欲しくて、成果を出すために毎日仕事に励んでいる。でも、友達からは社歴や役職についている女性を揶揄して「お局(おつぼね)」と呼ぶ人がいることも聞いてる。なんでだろう、お局とは呼ばれたくないんだよね。お局と女性リーダーって何が違うんだと思う? 

MOMOKO:お局ってもともとは「組織の中で現場を支えて取り仕切る人」という意味だよね。でも今は「変化を嫌う」「若手に厳しい」みたいなマイナスのイメージで使われることが多いね。一方で、女性リーダーは「変化を起こす側の人」。現状を保つことよりも、ポジティブな変化を喜んで受け入れていったり、失敗を恐れずに果敢に挑戦していったりするイメージがあるな。そういう意味では、両者は対照的な存在かもしれない。

NAOKO:リーダーって、その人の本当の心からの願いに対して行動してるかどうかだと思っていて。福女大で出逢った先生は「大学生活は社会人になるまでの最後の砦、だから私がなんとかしないと」と言っていた。背景を含んだ、強い想いを感じたの。気迫のようなもの。しかもね、自分のことだけじゃない、社会の未来に対してどういう願いを持っているか。そして、それに対してどう行動しているか。それがリーダーをリーダーたらしめているものなのかな。

TOMOMI:MOMOKOがさっき言ってた、その人の想いや物事を動かしていく覚悟ともつながるね。「信念を持ち行動すること」が大切だと思う。体験学習に参加していたときの私は、とにかく毎日必死で、自分に信念があるとかないとか正直わからなかったけど、社会人になって壁にぶつかった時に立ち返る自分の原点の多くって、その頃の経験から生まれてたんだよね。

具体的には「環境のせいにせず、自分から行動して変えていくこと」、「誰かがやってくれるだろうと思わず、自分がその『誰か』になること」。それが体験学習を通じて生まれた、ずっと大切にしている信念。覚悟や信念は、その人が「覚悟しています」「信念があります」と言って相手に伝えるというよりは、勝手に伝わっていくものだと思う。それが人の心を動かして、「この人についていきたい」となるんじゃないかなと思ってる。そんなことができる「リーダー」でありたい。
IT企業で働く二児の母・TOMOMI。地元福岡から離れた東京での子育てはバイタリティが鍛えられる。「鍛えられている感覚」が楽しい。

「『女性』リーダー」という言葉への違和感


NAOKO:二人の話を聞いていると、リーダーに求められる資質として、性別は関係ない気がしてくるね。なのに「女性」リーダーという言葉だけが一人歩きしているという気持ちにもなってくる。
 
TOMOMI:私が新卒で入社した会社での初めての部署では、男女で区別をされていると感じる場面はなかったかな。「女性だから優しくされる」とか「女性だから下駄履かせてもらう」とかがなくて、男女関係なく結果を出した人が評価されるべきだよね、という雰囲気だった。だから、フラットな環境にいられると自分を発揮しやすいんだなと実感した。

ただ、部署異動をして本社コーポレート部門で働くようになってからは会社全体のことを把握して、「女性」で立場・権限を有したリーダーがほとんどいない事実と、自身も「女性」・「ママ社員」だからという理由で、重要でチャレンジングな仕事が任されないことの悔しさを日常的に感じてた。そんな雰囲気に物凄く違和感があって、抗ってめちゃくちゃ働いた時期もあったよ!それでも、なかなか風土までは変えられなかった。こんな経験があったから、このトピックで思うのは「女性」「男性」という性別で区別されると窮屈だなということ。
在学時の体験学習プログラムで訪れたスリランカに10年ぶりに旅行したNAOKO。世界遺産Sigiriyaにて。
MOMOKO:同じ会社でも職場によって違うこともあるんだね。私自身は社会に出てからの会社が2社ともフラットで、女性だからどうという明確な区別を感じるシーンがほとんどなくて。女性も男性も関係なく、意欲や能力のある人がリーダーを担う環境なんだよね。だからか、「女性リーダー」という言葉には違和感を覚えてしまう。リーダーにわざわざ「女性」ってつくとあたかも特別な感じがしてしまわない?ただ、日本初の女性総理大臣が誕生、というニュースについては、同じ女性として誇らしさみたいなものを感じてる。誇らしさは感じるけど、「女性」であるという点にフォーカスされすぎるのは失礼な気もする。性別ではなく、実力や価値観、どんな未来を思い描いているのか、が話題となるべき。「女性」でまるっと片付けられるのは違うんじゃないかなと思ってしまう。

NAOKO:戦後80年、女性総理大臣が生まれなかったっていう事実が日本にはあって、今回女性がなったというその歴史的な意味合いを考えると、女性が任命されることは、一つ象徴というか、歴史が動いてる証拠だと思う。だから、「女性リーダー」っていう言葉には違和感はあるんだけれども、トップの役職に就く女性が増えて欲しいなって想いもある。「女性」というワードを意図して使う、意図して使われてるということを意識していきたい。むやみやたらに使われている「女性リーダー」っていう言葉を鵜呑みにするんじゃなくて、どのような文脈・目的で使われているかを確認するのが大事じゃないかな。

TOMOMI:女性のトップリーダーが増えて欲しいっていうのはすごく思うね!「男性リーダー」とは言われないのと対照的だから、女性リーダーも男性リーダーもいるのが普通になったとしたら、わざわざ言わなくて良くなるよね。そういう未来にしたいと思う。

NAOKO:そうね。男性リーダーと言われないのと同じぐらい、女性リーダーが際立たなくなる未来というのが私たちの本当の願い。そして、その未来に向けて行動していく女性はみんなリーダーで、私たちもリーダーだってということやね。 
社内撮影会でのMOMOKO。善く生き、強く、しなやかに、歳を重ねたい。

リーダー?リーダーシップ?


NAOKO:ビジネス本とかではよく「リーダー」と「リーダーシップ」って混在して使われているけど、リーダーシップってそもそも何だろうね。

TOMOMI:リーダーは役割。リーダーシップは能力っていうイメージがあったな。

NAOKO:私は、リーダーシップは影響力のようなものじゃないかと思ってる。例えば、会社の会議とかで何も発言しない人とか、眠そうな人とか、イライラしてそうな人とか。そういう人って一見何もしてないように見えるけど、実はその周りに対する影響ってめっちゃ与えてると思う。この人がいるだけで空気が悪くなるとか、全体の士気が下がるとか。

MOMOKO:私も最近、福女大の「グローバルリーダー演習」にOGとして呼んでもらったときに学んだんだけど、リーダーシップって、「人々がポジティブな変化に向けて関わり合うプロセス」っていう定義もあるんだって。ポジティブな変化っていうのは、新しい挑戦に踏み出したりとか、より良いチームのあり方を描いてみるとか。例えば、前例がないことや新しい制度づくりに挑戦するときって、チームのメンバーの感情はポジティブにもネガティブにも大きく揺れるんだよね。その揺れを、対話をしながら整理してみんなの中にある理想を拾って形にしたり、ひとりひとりがより自分自身や他者とポジティブに関われるように働きかける。私自身の直近の経験で、これもひとつのリーダーシップ・プロセスかなと感じてた。

NAOKO:そう考えると、さっき私たちが話した女性リーダーの定義とリーダーシップの定義ってちょっと似てる。ポジティブな変化を起こそうとすること、本当の願いを持って行動すること。そうだとしたら、リーダーは「人」で、リーダーシップはその人と人との間の「プロセス(関わり合い)」のことなのかな。

MOMOKO:そうかもしれないね。「リーダーシップを発揮する」っていうのは、一人の立場的リーダーが他のメンバーや部下に対して振りかざすようなものではなくて、共通の目標に向かうプロセスそのものに自分自身のベストを活かしていくこと。

TOMOMI:ポジティブな変化に向けて人々が関わり合っている中に自分を活かす、ということだね。
大学1年次以来つながりが続く体験学習メンバー。定期的に会い、語らい、支え合う。東京在住のTOMOMIとNAOKOは月1の頻度で!

社会で発揮されるリーダーシップ・プロセス


NAOKO:すごく勉強になる。ここまで話して私たちの学生の時をふりかえってみると、たくさんのリーダーシップ・プロセスに自分を活かしてきたよね。

TOMOMI:体験学習で先生からよく言われていた「ボールを拾う」ということもそうじゃない?例えばAさんが質問に答えられなくて沈黙が続いた時に、勇気を持って代わりに自分が話し出せるかどうかとか。組織全体、あるいは社会全体を考えたときに、この状況を良くするにはどうしたらいいんだろうってことを考えて、役割を超えて全体を動かすことが「ボールを拾う」つまり、リーダーシップ・プロセスに自分を活かすことなんじゃないかな。

MOMOKO:「ボールを拾う」、なつかしいワードだね。わたしが今所属している会社では、問題解決に向かうときの合言葉として「ワンチーム」っていうものがあるよ。大きな壁を一丸となって乗り越えるために職種や役割関係なく協力しあえるカルチャーでとても気に入っているんだけど。社会に出る前も、大学に入学する前も、何かを乗り越えるためにチームで支え合うことってあったと思うけど、「ボールを拾う」行為を言語化したり「この行動がコミュニティに対してポジティブな影響を与えるんだ」ということを自覚したのは、体験学習がきっかけだな。

NAOKO:体験学習で大事なのは「ふりかえり」って言われてたよね。ある経験をした後に「なんであの時にボールを拾わなきゃいけなかったのか」とか、「なんで自分は拾えなかったのか」とか自分の内面の気持ちも含めて、自分に向き合っていた。 最近、AIにふりかえりとかコーチングを頼る人が増えたな、って印象がある。それ自体は否定しないけど、見てて「なんちゃって」ふりかえりになってるな、って。AIは基本的にポジティブな言葉を戻してくるけれど、それに満足するばかりで、痛い言葉に耳を傾ける経験がないって、とても危険なんじゃないかって思うの。

TOMOMI:うちらの場合だと、学生同士や先生との「ふりかえり」だけじゃなくて、学外の方からのフィードバックもたくさんあったよね。

大学2年生の時に履修した体験学習、「アビスパ福岡サービスラーニング」プログラムでは、社会人から見た自分はどう見えるのかについてフィードバックが入ると、「まだまだ自分は『女子大生』止まりなんだな」とか、違う観点から自分のことを認識できていった。当時の自分にグサッと刺さるフィードバックも多々あったけど、今ふりかえると本当にありがたい機会だった。「ふりかえり」も他者との関わり合いだから、内にこもってないで、外出たほうがいいね。

MOMOKO:そうそう。外に出ていく経験を通じて「自己理解」が深まっていったよね。自分の得意や苦手、価値観って、机上の分析だけでは見えなくて、他者からのフィードバックや挑戦と失敗の中で初めて輪郭がはっきりしてくる。自己理解は固定されたものじゃなくて、経験を重ねるたびに変化するものでもあるから、その時々の自分の状態を正直に見つめ直しながら、自分の強みをどう活かせるか、どんな場面で慎重になるべきか、そういう判断ができるようになるんだよね。

学生時代はもちろん、社会に出てからも、自分の行動や選択に対して「なぜそうしたのか」「何を感じたのか」をふりかえり続けることで、自己理解はより立体的になっていく気がするよ。そして、こういうプロセスを経ることでこそ、リーダーシップ・プロセスに自分らしさを自然に発揮し続けられるんだと思う。
在学中の沖縄旅行での一枚。遊びも仕事も全力で楽しむ!がモットーのMOMOKO・TOMOMI・NAOKO。

「次代のリーダー」である、福岡女子大学のみなさんへ


NAOKO:ここまで読んでくれた人に心から感謝だね。私たち8人は、大学生という期間を使って、「普通に授業を受ける」環境を越えて外に出て、経験をしたり、誰かと出逢ったり、外から大きく揺さぶられる中で新しい自分を知り、「自分」というものを広げてきた。それがこの対談で伝えてきたことに繋がったと思う。 

TOMOMI:自分にとって大学時代は「何でもやってみたい」という興味と好奇心の日々だったな。今思えば、その「やってみたい」気持ちは、時として落ち込んだりパニクったりする自分自身によって見えづらくなる時もあったんだけど、そのたびにたくさんの出会いと経験一つひとつ、そしてそれを一緒に駆け抜けた仲間たちのおかげで、また奮起できて、自分を活かしてみたいと思えていた。大学生という期間は自分の今後の可能性や選択肢を広げるための貴重な「種まき」の期間。「普通に授業を受ける」から飛び出て、いろんな人と出会って、様々なコミュニティの中で、リーダーシップ・プロセスに自分を活かしてみるっていうのをどんどんやってほしい。 

MOMOKO:端的に言うと「外に出よう!」「人と関わろう!」「行動しよう!」かな。ちょっとハードル高く感じるかもしれないけど、「人と話そう!」だったらちょっとハードル下がるかな。よかったら、わたしたちと話しましょう!もし怖いなら、自分は今怖がってる状態であるっていうことを素直に伝えてみるのもいいと思う。

NAOKO:AIと話して終わらないでほしい。生の人間同士のコミュニケーションが人生を豊かにしてくれるから。

TOMOMI:そうだね。私たちもいつでもいくらでも力になるよ!

おわりに


この対談と対談をベースに起こした記事制作を通じて、私たち8名は、それぞれの人生の選択の中で主体性を持ち、ざらつくことがあっても他者と深く関わり、変化を恐れずに自己を更新し続けることが、これからの時代に求められるリーダーシップの本質であると再認識するに至っています。

自己を更新し続ける、つまり自分自身の多様なあり方をこれからも模索し、必要な時には「普通・あたりまえ」に抗い、その抗いを体現し続けていくことが福岡女子大学の卒業生として母校に貢献できる一つの手段ではないかと強く感じました。よって、最後は敢えて「次代の女性リーダー」ではなく、「次代のリーダー」と書いてみました。福岡女子大学に通う学生たちにとって、この対談が自身の「リーダー像」を探り、未来を切り拓くために踏み出す力強い一歩の追い風となることを願っています。

私たちと直接話をしてみたい人はこちらのフォームからお問い合わせを。お待ちしています!