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活動報告2025.09.01
OGからの贈物!「福女大OG対談:8人8色のリーダーシップ・プロセスへの臨み方」第1章リリース

フルタイムの仕事・子育て…それぞれを取り巻く状況の中、この半年ほど夜遅くのオンラインミーティングを幾度も行い、仕上げてくれた対談記事のタイトルは、「福女大OG対談:8人8色のリーダーシップ・プロセスへの臨み方」。
福女大を巣立ち、OGたち自身が「新人」として働きだした10年前。そこから若手育成、採用やヘッドハンターといった業務の担当や家族を持つという生活の変化学生時代をふりかえり、キャリアとリーダーシップという観点で構成された全3章の読み物となっています。
今回は、第1章を公開します!
はじめに
そんな一声から、今回の対談記事化が実現しました。学生時代の2011年新設の国際文理学部1期生7名、そして旧学部1名から成る8名の共通項は、現行カリキュラム内「リーダーシップ開発系」に位置づけられる「体験学習プログラム」での経験です。
卒業後の10年余となる私たちのふりかえりが、現在&未来をつくりだすリーダーである在学生のみなさんにとって、行動を起こすきっかけとなること、ひいては母校・福岡女子大学の発展につながることを願います。
第1章:キャリアを築く上で大切にしたいこと ~主体性と「ギバー(giver)の精神」が拓く未来~

あなたは「自分が社会にどう貢献できるか」を言葉にできますか?
10年後の自分は…
「誰かのせいにしない」自分になれているでしょうか?
自信を持ってYESと言えなくても大丈夫。
10年前の私たちも、まったく同じ地点に立っていました。
キャリアを駆動する「軸」

NAOKO:本当ね!今回のテーマが「キャリア」ということで、まずはそれぞれ今どんな仕事をしているか、そして、キャリアを築く上で特に大切にしていることについて聞きたいな。TERUから、どう?
TERU:私は新卒で入社した会社で、不動産コンサルティング営業をやって10年以上経つよ。仕事において一貫して大切にしてきたのは、「人や環境のせいにしないこと」と「物事を自分の課題として捉え、主体的に行動すること」かな。新入社員の頃から、チームの一員として、またリーダーとしての立場においても、この意識は変わらなかった。
NAOKO:「人や環境のせいにしない」という考え方は、簡単なようで、難しいことだと思う。それは最初から持ち合わせていた意識だった?それとも仕事での経験を通じて深く根付いていったの?
TERU:入社した時から持っていたよ!その意識が深く根付いたのは、まさに学生時代の*「体験学習プログラム*がきっかけ。スリランカやアビスパのプロジェクトに参加し、役割分担がある中で、どうすれば物事をスムーズに進められるかを意識した経験が、会社に入ってからも常に活かされている。10年が経った今でも、ここでの学びが最も重要だと感じるほど、その本質は変わっていないな。
*「体験学習プログラム」
体験学習は当時新設されたばかりの「国際文理学部」7つの特色のひとつだった。「次代の女性リーダー育成」のための幅広い教養教育を謳ったカリキュラムにおいて、体験学習は「専門知識を深めるだけではなく、社会で自らの人生を切り拓いていく力を身につける」ことを目的としていた。

TERU:結局のところ、人や環境に責任を転嫁すると、問題の本質的な解決策が見つかりにくくなるし、自分ではどうしようもできない不平不満を言うだけで物事が良い方向には進まないと思っていて。だから、常に「自分に何ができるか」という原点に立ち返るように心がけているよ。その中で、目標達成を最優先に考え、自らが主体的に行動することで、周囲の意識すらも変える可能性があるよね。チームとして活動する上で、自分が何に貢献できるかを深く考え、行動に移すことが極めて重要だと感じる。
NAOKO:なるほどね。NORIKOは働く上で何を大切にしている?
NORIKO:私も新卒から同じ会社で、メーカーのアカウント営業をしているけど、どんな場所でも通用する人材でありたい、私にしかできない仕事を担いたい、という強い願望があるな。社会は歯車のようなもので、私が退職してもきっと誰かが私の仕事を引き継ぐと思うけど、その中で私独自の強みを発揮して「あなたに依頼したい」とお客様に感じていただけるような仕事を増やしていきたい。
NAOKO:具体的には、どんな場面でそれを意識してる?

NAOKO:NORIKOは感受性が高いから、相手主体で仕事ができる人だと思う。仕事の本質は、まず相手を主体として考えられるかどうか、だよね。
TERU:それは本当にとても重要だね。
NORIKO:何か提案をするとき、お客様本人ですら、本当に求めているものを認識していない場合もある。そんな状況において、いかに会話を進め、道筋を立てて、お客様のニーズを引き出すかを考えることが、徐々にできるようになってきたかも。
TERU:お客様に対してだけでなく、社内での稟議プロセスにおいても、後続の担当者のことを考慮し、一日でも早く回すなど、そうした「相手への配慮」が重要だと思うな。共に仕事をする人々、つまりお客様だけでなく、先輩、上司、部下、全ての人に対して、スムーズに繋げることができるからこそ、「この人に依頼すればまた協力してもらえる」と信頼を勝ち取ることができるよね。信頼されると、自分も仕事がしやすくなる。自分の仕事のしやすさも、自ら構築していくもの。

NAOKO:私は「バッターボックスに立つ」ということを現在も日々意識しているよ。質問をすることや、意見を表明することは勇気がいることだけど、将来的にホームランを打つためには、まず打席に立ち、バットを振る必要がある。空振りでもいいじゃない。要は、空振りを受け入れる覚悟を持てるかどうか。
NORIKO:大学生の頃、失敗は怖かったよね。でもさ、この年齢になっても失敗はするし。失敗しちゃいけないんじゃなくて、そこから何を学び、次に活かすかが重要だよね。多少の無理をしてみることや、自分に負荷をかけることは当時は怖かったけど目の前のことにとにかく必死で臨み続けて、結果、怖いけどやれて、学べて、次に活かせた気がする。
学生時代を社会人0年目として考えてみる
TERU:意識としてはそう捉えているかな。もちろん、決して簡単なことじゃないよ。それでも、例えばAさんが変わらなければ解決できない問題が発生した場合でも、「Aさんが変わらなければどうしようもない」とAさんが変わるのを待つのではなく、Aさんを巻き込んで問題を解決していくために自分に何ができるかを考える。それが、仕事を進める上で真に必要だと考えているよ。
NAOKO:TERUの話からは、学生時代に「基礎的な素養」を鍛えておくことの重要性が強く感じられるね。「基礎的な素養」というのは当時経産省が「社会人基礎力」として示していた、考え抜く力、チームで働く力、前に踏み出す力のようなものだね。私たちも若手を育てる立場になったけど、そんな素養が足りないと感じることはある?
TERU:最近、うちの会社で新入社員の営業担当者が2日目で退職したという話を聞いたんだよね。会社の規模が大きすぎて自分がやっていける自信がないというのが理由だったようで、ご両親も「自分で決めたらいい」という考えだったみたい。それでも、せっかく就職活動を頑張って入った会社なら、そこで怯むんじゃなくて、その会社の中で自分にできること・やりたいことを考えられる力が社会では大切になるのかなと思う。
NORIKO:確かに。社会に出てすぐに怯んでしまうというのは、学生時代の経験が不足しているから「初めて」のことが多くて、意識しすぎてしまう側面があるのかもしれないね。学生時代は限られたコミュニティの中で過ごすことが多い人もいるよね。
TERU:うん。体験学習に限定されることなく、どんな経験でも構わないけど、様々な新しいことや異なる環境に積極的に飛び込むことで、「度胸」を養う―つまり、どんな状況でも堂々と振る舞える自分を学生時代に築けると強いよね。
NORIKO:私も同じ意見かな。多様性を受け入れて、自分と同じ考えを持つ人ばかりがこの世界にいるわけではない、ということを体験学習や留学など学業以外でも経験してきたから、会社に入った時もそれまでの経験を糧にして「やっていけそう」と認識できた部分がある。
NAOKO:時代背景も少なからず影響しているよね。現代はパーソナライズ化が進んで、アルゴリズムが自分に有益な情報しか提供しないから、自分とは異なる意見や環境に触れる機会が減少しているように思う。私たちが学生のころはこれほど顕著ではなかったよね。今の学生は、一層意識的に行動を起こさなければ、常に自分の好きなものだけに囲まれた生活を続けることになっちゃうかも。
キャリアを「意図」する

TERU:私の場合、現在働いている会社で仕事を続けたい。その中で、営業の管理職になりたいかと問われれば、そうも考えてない。自分の強みや、これまでの経験が最も活かされるのは、営業職を続けて実績を積み上げることや、チームを統括することではないと感じている。むしろ、「縁の下の力持ち」というか、細部にまで配慮が行き届くような仕事をしたいと思っているよ。
NORIKO:TERUは、学生時代からまさしく「縁の下の力持ち」という印象があるね。
TERU:自分が最も高いパフォーマンスを発揮できる場所で仕事をしたいんだよね。全体像の中で自分がどうあるべきか、どう成長したいかをよく考えて、チームの中でパフォーマンスを発揮することが、あるべき姿かな。

NAOKO:私はどんな企業に在籍しようとも、どんな国に滞在しようとも、単独で自立して生活できる力を身につけたい、これが根本にある。でも、「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」ということわざもある通り、みんなで行う意思決定は時間がかかるけど、ひとりで行うものとは違う景色が見られたりするね。
NORIKO:NAOKOも成長したね!と、偉そうに言ってみた(笑)。
「ギバー(giver)」と「テイカー (taker)」

TERU:本当にそうかも!
NAOKO:そんな態度は見透かされるよね。ギバーの人は、ギバー同士で関わることで非常に心地よい関係性を築くことができる。TERUやNORIKOはギバーだと思う。自分の利益や目先の事柄に囚われず、まずは自分が与えよう、何かを成し遂げようという精神を持っている。それは仕事だとダイレクトに活きるよね。
TERU:例えばクライアントへの提案を作成する時に、「あの時のデータを提供してくれないか?」と依頼してくる同僚(笑)。誰にでも同様の依頼をしていて、自ら進んで資料を作成するということはないんだよね。
NORIKO:なるほど(笑)「またか」って思ったりするよね。享受する人は、常に享受するばかりな気がする。
NAOKO:しかもそのことに無自覚だと思う。あと、受け身な人もテイカーになりがち。大学の授業の話もそうだけど、基本的には能動的ではなく、受け身で受講しているため、学生というのは、意識してギブしないと基本的にテイカー状態、という認識は持っていた方がいい。
TERU:確かに。そうだね。
NAOKO:だからこそ「学生よ、ギバーであれ」というメッセージを伝えたい。企業で働くということは、何かを生み出し、あるいは改善し、社会に提供することだから。これが学生と社会人の違いかも。
NORIKO:「誰かが何かをしてくれる」と思いがちだけど、そのことに自分が気づいていない、という状況は少なからずあるよね。この前プライベートで新卒の子と話した時も、「自分はこれがしたいのに、会社が認めてくれない」と思っていそうだった。「会社が〇〇する」モードから抜けきれてない。まずは自分で組織においてどう貢献できるかを考えて色々とやってみて、その中で得られた経験や気づきを活かしていくほうが結果的に本人のためにも良いかなと思ったよ。ただ不平不満を述べるのは自分が一番損することになるよね。仕事が連続性を持たず、人との関わりも無くなって断片的なものになってしまうからね。
NAOKO:そうだね。本日は本当にありがとうね。キャリア形成において大切なことは主体性、挑戦心、そして他者への貢献意識が不可欠だ、って、改めて実感したね。今日は「仕事」に話が集中したけど、TERUのように出産や子育てがキャリアの一部となる人もいる。次はその話を聞いてみようか。
第2章へ続く・・・