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お知らせ2024.11.05

グローバルリーダー演習履修生が協力!「福岡からみる日本とカリブ」開催報告

イベント企画運営チーム。
10月5日土曜日、福女大講義棟C201中ホールで、「福岡からみる日本とカリブ」イベントが開催されました。

2024年は外務省「日・カリブ交流年2024」、そして、日本とジャマイカおよびトリニダード・トバゴの国交60周年にもあたります。そんな2024年を盛り上げようと「福岡未来創造プラットフォーム」の補助を受けた本企画は、福女大のほか、福岡大学や久留米大学の学生が企画運営に携わりました。

イベントの様子は久留米大学HPからご覧いただけます。

ここでは学生チームを駆動した福女大・グローバルリーダー演習履修生による、イベント企画運営を通じた「リーダーシップ」の学びを綴った報告をご覧ください!

【学生による報告】グローバルリーダー(GL)演習とカリブイベント

グローバルリーダー(GL)演習では、「まだまだまだまだ自分!」を合言葉に、「グローバルリーダーってなんだ?」を理論、実践を通して日々模索しています。GL演習の活動として、「日・カリブ交流年2024」に際した「福岡からみるカリブ」企画の準備や当日の運営を行いました。他大学の学生とともに、定員100名という大きなイベントの運営に、チームとして携わるのは初めての経験でした。

イベント一か月前の9月6日。最初で最後の対面でのミーティングが、会場となる福女大で開かれました。これまでにないような「おかしな場」にしたいという思いを、各大学からボランティアをかって出た8名の学生、当日の登壇者でもあるトリニダード・トバゴ人のタディス・ディロンさん、福岡大学人文学部・鈴木美香先生、久留米大学文学部・神本秀爾先生、福女大・和栗百恵先生で共有。大学の「講演会」ではまず考えられない「壁一面のポスター」装飾や、「参加者へのカリブ由来のお菓子」提供、「レゲエの音楽に合わせて振る布」作成などのアイディアを学生たちが出しました。

その実現のために、「壁一面のポスター」は福大、「参加者へのカリブ由来のお菓子」は福女大、「レゲエの音楽に合わせて振る布」は久留米大と役割を分担し、対面ミーティング以降は学生チームのグループLINEでやりとりをしながら準備を進めました。

グループLINE上では、タイムリーかつ正確に報・連・相ができなかったり、8名全員がエンゲージできるような話し合いをできなかったりと、オンラインのみで作業を進める難しさもありました。しかしながら、福大チーム3名は「ビジュアルチーム」として、お互い初対面&異なる学年や学科ゆえに日程調整が難航しつつも、「壁一面のポスター」のデザインを考え、神本ゼミ生でもある久留米大チーム2名は「レゲエの音楽に合わせて振る布」について、「布だと振りにくいから旗に!」という新たなアイディアを加え制作を進めてくれました。迎えた当日。1か月ぶりに会う面々がその場で生み出すアイディアも加わって、思い描いていた以上の、いつもの福女大・C201教室(大人数の講義型授業が行われる)ではなかなか見られない、「おかしな場」をつくりだせたと感じています。

以下に続くのは、学生チームメンバーがカリブイベントに携わった感想や学びです。ぜひご覧ください。

「暑さ耐久レース〜壁一面のポスターのために〜」(福田優月)

環境科学科3年・福田優月(福岡県立伝習館高等学校出身)
「壁一面のポスター」を実現するためのはじめの一歩として、9月のまだまだ暑い日に、会場のC201教室に行くことを決めた。会場の柱の太さなどを計測し、どのサイズのポスターを何枚貼ることができるかを明確にし、福大ビジュアルチームに共有するためである。あや(福女大メンバー・大亀彩花)もみく(同・上村明空)も都合がつかず、初めはひとりで行く予定だったが、GL演習担当教員であり、本イベントの総合司会を務められた和栗百恵先生が「一緒に行くよ」と言ってくださり、ポスターとメジャーを持ってふたりで教室に向かった。

そこまでは良かったのだが、なぜか教室の空調がつかず、、。ふたりで「暑いねー」と言いながら、暑さでもうろうとする頭をはたらかせ、メジャーを使って柱の太さを計測しその柱に何枚のポスターが収まるかを計算したり、会場内のホワイトボードにポスターを仮で貼り、引きで見てバランスを考えたりした。

そのような作業を経て、最終的にどのサイズのポスターが何枚必要なのかをはじき出した。地味に時間がかかり、暑さゆえ余計に大変な作業だった。しかし、必要な枚数を福大ビジュアルチームに共有→チームがポスターデザインや枚数を検討・制作してくれたことで、当日はデザインしてもらったポスターたちで会場C201が装飾された。装飾されたC201を見て、空調がつかない中で作業するというおかしな事件が起きたけれど、最終的に「おかしな場」づくりをするという目標達成ができたため良かったなと思った。

ここでふり返って、私の行動をこれまでに学んだリーダーシップの理論と照らし合わせてみる。そうすると、早稲田大学・日向野幹也教授が米国のリーダーシップ教育研究者であるKouzes & Posnerの「優れたリーダーシップの5つの実践」モデルが示すリーダーシップの最小3要素である「目的・目標共有」「率先垂範」「他者支援」の一部ができていたのではないかと考える。会場校福女大の学生だから当たり前だと思いつつも、必要なポスター枚数をはじき出すために計測に行ったことは、「おかしな場をつくり出す」のもと、「自分がその成果目標のためにまず行動」という「率先垂範」であり、自分が提供した情報をもとに福大の学生たち自身が「ポスター制作」をするという「率先垂範」にもつながったことから、「自分だけでなく他者にも動いてもらう」という「相互支援」になったと思う。

実際行動しているときはこの2つを意識しておらず、この要素を学んでいたこともふり返るまで忘れていたが、今回ふり返って気づくことができ、理論と実践がつながった瞬間になった。しかし、準備期間の中で、「相互支援」の「動きにくそうな他者をサポートする」ことはうまくできなかった。その「動きにくそうな他者」とは、グループLINE上で話し合いをした際になかなか意見を出すことができなかった学生のことだ。何をどうしたらそのような「動きにくそうな他者をサポートする」ことができたのか、これを今回の反省点として考え、次の機会では理論を考えながら実践できるようにしたい。

「アポなしポスター大作戦~夏の陣~」(上村明空)

国際教養学科2年・上村明空(福岡県立福岡高等学校出身)
イベントの準備にあたり、和栗先生に何度も相談にのってもらっていた。ある日、和栗先生の研究室でお話をした際に、「イベントでDJ実演をするKCさんのお知り合いのご飯屋さんが香椎にあって、ポスターを貼ってもらえそう」と聞き、ポスターをもって研究室を飛び出した。

まずは、紹介いただいたJAYAさんざいとんさんに。勢いで行くと言い、飛び出したものの内心超ドキドキ。でも、やると言ったからにはやる(昨年履修した、和栗先生担当の「英語で学ぶ『リーダーシップ』」で学んだDo What You Say You Will/DWYSYW)と心に決め、いざ入店。「こんにちは、福岡女子大学の上村明空と言います。」とお堅い自己紹介をキメ、ポスター掲示のお願いをした。JAYAさんも、ざいとんさんも、喜んでポスターを貼ってくださった。感謝を伝え、単純な私はルンルン気分でお店を後にした。

後にしつつ、余った2枚のポスターに目を向ける。「これ駅に貼れないかな、掲示板にはいっぱいポスター貼ってあるし...」と思い、西鉄香椎駅とJR香椎駅に突撃することに決めた。西鉄香椎駅は有料掲示しか行っていないと聞き、「予算が厳しい」と聞いていたので断念。有料なのか…と少しだけがっかりしつつも、日々通学でお世話になっているJR香椎駅に乗り込む。緊張でいつもの駅がどこか別の場所にいるかのような感覚に陥りながら、みどりの窓口の順番を待つ。自分の番になる。凛々しい笑顔の女性の駅員さんにポスターを貼りたいことをお願いする。なんと、「もちろんいいですよ」とのご快諾。西鉄香椎駅は有料だったので、ダメもとでのアタックであり、アタックした割にはまさか無料で貼ってもらえると思っていなかった自分に気づいた。驚きながらも懸命に感謝を伝えた。駅員さんは快活な笑顔を浮かべながら、ポスターを受け取ってくれ、「イベント頑張ってください!」とエールも送ってくださった。

今までの自分では考えられないような「アポなしでポスターを貼ってもらうお願いに行く」という新たな行動。「自分こんなことできるじゃん!」という感覚を得たことで、以前からリーダーシップの文献で目にしていた「自己効力感」につながった。これからも自分のすべきこと、できることをやり遂げていくこと(Do What You Say You Will)を継続しながら、新たにできることを考え、行動を起こし、経験を積んでいきたい。

「全力ココナッツブレッドづくり〜激せまキッチンハウスにて〜」(大亀彩花)

国際教養学科2年・大亀彩花(広島市立基町高等学校出身)
ココナッツの匂いでいっぱいの部屋。小麦粉やグラニュー糖が落ちまくった絨毯。肌の色が違う大きな男の人(ディロンさん)、それに加えて3人の学生で、すし詰め状態の狭いキッチン。4か月前は、誰がこんな状況を想像できただろうか。この状況の発端は、4か月前の7月に「福岡からみるカリブ」のイベントをやると和栗先生から伺ったことだった。福女大だけでなく福大や久留米大の学生も関わるとのこと、「面白そう、やってみたい!」。GLメンバーで協力学生として関わることに。

初めての対面ミーティングの日、学生同士で自己紹介をするとともに、なぜこのイベントに関わろうと思ったのかを聴いた。それぞれきっかけは違うものの、みんなの中に共通のものとしてあったのが「どうせやるならおもしろいものをつくりたい」という思いだった。これまでの福女大のリーダーシップ開発関連科目で学んだ、リーダーシップの最小三要素のひとつに「目的・目標共有」というものがある。それぞれがどういう思い(目的)をもってこのイベントに参加し、どのような場にしたいか(目標)をはじめに共有できたことが、一人一人がイベントをより良くしようと行動していく要因になったのだと思う。ミーティングで、目標を具体的に共有していく中で、「カリブを感じられるお菓子とかあったら面白そうじゃない!?」という一言があった。それが、「参加者へのカリブ由来のお菓子」であるココナッツブレッドづくりのスタートとなった。

イベントに向けて各チームに分かれて動き出すも、私はほとんど何も動けていなかった。学生チームのグループLINEのやりとりでは関われているものの、夏休み中の予定にいっぱいいっぱいで実働が叶わない。一方、GL演習履修生であるゆづ(福女大メンバー・福田優月)は灼熱の教室でポスター計測をし、みく(同・上村明空)はポスター掲示のために、香椎でアポなしアタックもするに至っていた。ふたりとも「自分にできることを」、と積極的に実行している姿を見て、私は焦りを感じていた。「何かやりたい」と感じるものの、思っているだけで何もしていないことにモヤモヤイライラ。「私はどう関わりたいんだろう、どうコミットできるんだろう」と自分に向き合って考えた。

そのときに私は、「一緒になって全力で取り組み、喜びや悔しさを同じ温度感で感じたい」自分に気が付いた。周りに、「全然やってないじゃん」と思われることよりも、出来事が起こっているとき、また終わったときに同じ温度感でリアクションできないことの方が嫌だと。一人ではなく、仲間と協働で何かをすることが好きで、周りとつながっていたいと思うんだと自分に向き合う中で気づき、その価値観を言語化することができた気がした。

それから私は、とにかく自分にできることをしようと、もともと入っていた予定を調整し、広島出身の私が住んでいる1DKの家でココナッツブレッド作りができるように動いてみた。ココナッツブレッドは、生地を作った後に焼くという工程がある。イベント定員である100名分の生地を作るには、相応の分量の小麦粉、ココナッツパウダー、その他諸々を計量・混ぜる作業をしなければならない。私のオーブンレンジのサイズでは、100名分を8回かけて焼き上げる必要がある。焼くのにかかる時間は50分。15時半に生地作りを始め、すべてが完成したのは23時過ぎだった。見通しを立てたときに、材料の計測時間を含めていなかった自分の甘さを痛感し、絨毯が小麦粉まみれになりながらも、なんとか焼き上げることができた。ツヤツヤにコーティングされたココナッツブレッドが机の上にずらっと並んだ様子を見て、「やりきった…」と思わず心の声が漏れた。

今回のイベントでの経験をリーダーシップ・プロセス(Dugan, 2017)と照らして振り返ってみる。まず、GL履修生ゆづ・みくの姿を見て、私も行動したい(意欲)と思い、できることを探してやってみて(実行)、その結果、自分もできた(効力感)と感じることにつながった。また、そのプロセスの中で自分は何者か・どうありたいのか(アイデンティティ)について向き合う中で、「一緒になって全力で取り組み、喜びや悔しさを同じ温度感で感じたい」という価値観に気がついた。これまでは、たくさん経験をするのは良いものの、ひとつのことに向き合い続けるのがしんどく、「なんとなく」で終えてしまうことが多々あった。しかし、イベントでのプロセスから、これでいいや、と思考を止めてしまうのではなく、考え続けることで新しい言葉が出てきたり、言葉にすることで本当の意味で経験を自分の学びとすることができるという考え方へと、変化を起こすことができた。これらは、他者との関わりから起こったものであり、Kouzes & Posnerが提示するリーダーシップの8つのキー概念のひとつ、Leadership is a relationshipともつなげて腑に落とすことができた。リーダーシップの学びは常に起こっている(これも8つのキー概念のひとつで、Learning to lead is an ongoing process)、これまで学習した理論や概念と経験をつなげて考え、成功も失敗も自分の糧にしていけるようになりたい。

福岡大学・久留米大学生からの一言集

ここから続くのは、福大・久留米大生による感想です。

久留米大学3年・江原実乃梨さん(佐賀県立神埼高等学校出身)

100人近くの規模のイベントボランティアに携わる機会は滅多になく、非常に貴重な体験となりました。イベント当日は、多くの学生や一般の方々にご参加いただき、賑やかで楽しい雰囲気に包まれました。特に、準備から一緒に携わった福岡女子大学と福岡大学の生徒さんたちとに考えたドレスコードの影響で、たくさんの方が素敵な衣装を身に着けて来てくださったことが印象的でした。そのおかげで、会場の雰囲気がよりカリブらしくなり、とても素敵で嬉しく思いました。皆さんのご協力によって、素晴らしいイベントを実現できたことに感謝しています。本当にありがとうございました。
久留米大学3年・中村希来さん(岩田高等学校出身)

まず、このイベントに携わる機会を作ってくださった先生方、準備してくださった方々、ありがとうございました。

準備期間からとても楽しく、有意義な活動を行うことができました!「どうしたらイベントに参加してくださる方々が楽しんでくれるか」を全員で話し合って、カリブらしい雰囲気を作るためのドレスコードの設定や、フラッグの配布など、素敵な意見がどんどん出て、とてもわくわくしました。

また、沢山の学生がいる中、自分には何ができるかを考え、動いたり、話し合いにおいて、あらゆる視点から意見を出すように心がけたり、将来に繋がるような経験ができたことも、今後の自信に繋がったように感じます。

当日、イベントへの参加はできませんでしたが、このイベントの準備に携わることができて、貴重な経験になりました。改めて、このイベントに関わってくださった皆さんに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 
福岡大学3年・高木佳乃さん(福岡市立福岡女子高等学校出身)

カリブと日本の友好関係60周年記念講演の準備は、私にとって貴重な経験となりました。特に、会場装飾を担当した際、一つ一つ丁寧に写真を選び、カリブの温かい雰囲気を演出することに全力を尽くしました。来場者の方々が私たちの作った空間に喜んでくださっている姿を見てとても嬉しかったです。

また、受付では、ドレスコードにご協力いただいた方々や、旗を楽しそうに選んでくださる姿に、イベントの成功を実感しました。久留米大学が作成した旗や、福岡女子大学が手作りしたお菓子も大好評で、両大学の協力が成功の鍵となったと感じています。

講演では鈴木美香先生のキャリアとアイデンティティの形成というお話を聞いて混血の子はどのコミュニティにも完全に属さないという所属感の欠如を想像したことはありませんでした。

これから多文化共生社会のシフトに伴い混血の子たちは増えていくと思います。将来にわたって、多様な文化の中で人が生きていける社会を考えたいと思いました。
福岡大学1年・松尾彩美 (九州学院高等学校出身)

初めてイベントの企画運営に携わる貴重な経験をさせていただき、多くの反省点と学びを得ることができました。また、自ら考え、率先して行動する、見本となる他大学の学生と共に活動できたことは、良い刺激を受けることができ、私にとって非常に大きな財産となりました。

イベント当日、レゲエの音楽に合わせ、笑顔で旗を振る参加者の皆さんを目にした時に感じた、あの達成感と喜びは忘れることはありません。

今回このような素敵な空間を共に作り上げてくださった関係者の皆様と参加者の皆様、本当にありがとうございました。
福岡大学1年・松野陽(東福岡高等学校出身)

このような大人数を呼んで行うイベントのボランティア活動が初めてであり、とても緊張しました。9月の初めからこの活動が本格的に始まりました。自分は普段から意見を主張することは少なく、他人の意見を尊重したり、その意見を推したりすることが殆どであり、自分から意見することはとても新鮮に感じました。

当日は一人休んでしまうというアクシデントが起きましたが大きな失敗をせずにイベントが成功したのでとても嬉しかったです。

また、カリブと日本の関係を持つ人の講演はとても興味深く、自分の好奇心をとても刺激されました。このような機会を与えてくださりありがとうございました。